“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

夏祭り(7/20放送分)

time 2017/07/21


◎今週の俳句テーマ『夏祭り』

最下位:才能ナシ


パンサー向井[35点]

掬われる 金魚の出目に 武悪面(ぶあくめん)

向井:金魚すくいを普通に詠んでもアレかな、と思って、金魚の目線にw 水面に潜って金魚目線になってみると、人々が笑顔で掬っている様がすごく怖いものに見えてるんじゃないか、と。武悪面って狂言で使われている怖いお面があるので、そんな顔に見えてるじゃないか、という。。。


夏井先生:意図を持ってやってみたら激しく失敗した、という。。。私が最初読んだのはね、出目金の面が武悪面みたいだわって。(みんなに)思ったわよね? だとしたら“出目に”じゃなくて“出目は”にすればいいんだけど、もしそう言いたいならこの段階で順位上げてもいいかなと思って、一生懸命話し聞いてたんですけど、間違いなく最下位ですねw
金魚の目線ってゆうよりも、金魚に近づいて行ってるという、こっちから攻めていくしかありません、どうにかするためにはね。“出目”はどうでもいいですよ。

金魚 掬わんと近づく 武悪面

頭の中で映像想像して。そうなると、金魚すくいのあれの中ににグッと近づいていく映像だけは確保できる。ただね、これはなにかやろうと意思をしっかり持ってますから、将来性のある”才能ナシ”です、いまの段階では。将来性のない凡人よりもずっとなんとかなる。

第4位:凡人


松本明子[45点]

初浴衣 掬う金魚に 袂ぬれ

松本:これはもう、息子が3歳ぐらいのとき、初めて夏祭りに連れて行くときに初めて浴衣を着せて行って、夢中になった金魚すくいで、何回も何回もトライして、金魚のはねる水で初浴衣の袂が濡れてしまった、という。。。微笑ましいなぁ、と。


夏井先生:まず季重なりから整理しましょう。“浴衣”というのは夏の季語ですが、“金魚”も夏の季語なんですね。しかも、“袂”が出てくるとなるとどっちの季語を捨てるか、というと間違いなく“初浴衣”を捨てて何の問題もないですね。そうすると五音も節約できる。五音もあるとね、袂の濡れ具合の微妙な表現がちゃんとできるわけです。
金魚をさっさと掬いましょう。“金魚掬う”のあとに“水”を映像に入れます。ちゃぽんと濡れてしまって、あーあって絞っているかんじなら、“水に濡れたる袂かな”ってやってもいいし。“水に袂を濡らしつつ”としたら、濡れるの平気でやってる、そんなかんじになるでしょ。もっと微妙な表現もできるのよ。“水面に触るる袂かな”ってやったらほんのちょっと濡れたかしら? そんなかんじ。この3パターンでどんなイメージ?
松本:子どもなので、けっこう濡れちゃって。。。
夏井先生:うん。なるほど、じゃ、2番目ですよ。

金魚掬う 水に袂を 濡らしつつ

と、やればいいんですよ。

第3位:凡人


中丸雄一(KAT-TUN)[50点]

夏祭り 好きなあの子が いるぞ、おい

中丸:前回の反省点を間違いなく生かそうと思いまして。先生に『言ってる意味がわからない』と言われ、だからどストレートに、絶対にわかるように。。。


夏井先生:なんで3位になってるかというと、ひとまず意味がわかる。そして、非常にストレートに中学生男子のお気持ちを書いてらっしゃる。ただね、全国の中学生男子の9割が思って、9割が書くようなことです。これはね、凡人中の凡人を恥ずかしげもなくよく書けたな、と。こうゆう句ができたとして、これホントにプレバトに出していいのか、大体みんな思ってやめるんですよ、こんなの出してもって。凡人中の凡人ですから、平然とお出しになる。
17音の中に言葉がきっちり入り込んでしまっているので、添削するにも添削のしようもないです。将来性のない凡人。このあとあなたが、前の句が犬目線の句だったか、なんだかだったと思うんですが、犬から中学生目線に来たから、今度はもうちょっと真っ当な目線でもう1回来てください。

第2位:凡人


武井荘[55点]

隅田川 寄り添い眺む ラムネ瓶

武井:浅草の祭りに行った帰り道、彼女と行ったんですけど、昔。フラれちゃって、隅田川を一人で歩いてて、ベンチにラムネ瓶が2本寄り添うようにあって、俺がホントはこうしてるはずだったのにな、と思いながら隅田川をラムネ瓶を眺めてるような。。。


夏井先生:書いてある通りに読むと、『カップルが寄り添ってラムネ瓶を眺めてる』と読めてしまいますね。“隅田川”という場所があって、“寄り添い眺む”、動詞で全部たたみ掛けてきますね。人物が寄り添っていて、隅田川を眺めているのではないかと、そうゆう風に読みますよ、これは。ラムネ瓶が寄り添うんでしょ? なんか、ここの擬人化も強烈だな。まぁ、でもご本人が持っていきたい場面に寄せましょうよ。
間違った読み方を誘発するのは“眺む”がここにあるからだと思います。『寄り添っているラムネ瓶』だとストレートに言ってくださると、『カップルが寄り添っている』とかの読み方を否定できますから、“眺む”というのを別の情報で伝えましょう。
“隅田川”は外したくないですね? 思い出の場所だものね、フラれたんでしょ?w
“寄り添うラムネ瓶”とはっきり言いましょう。で、念押しするんです、寄り添ってるのは人間じゃないよ、ラムネ瓶なんだよ、二本なんだよ。

隅田川 寄り添うラムネ瓶二本

なんでここに二本あるんだろう、と読み手は不思議に思う。2本がポツンと寄り添ってある、人はいない、想像して『あー、男はフラれたか』ぐらいの。。。

第1位:才能アリ


皆藤愛子
[70点]

綿菓子の 甘い風吹く 夏の夜

皆藤:小さい時に行ってた夏祭りを思い出すと、香りがやっぱり印象的で、甘い香りやしょっぱい香りとか、綿菓子を買ってもらうのがすごくうれしかったので、それを思い出して作りました。


夏井先生:この句の中の一番いい表現は“綿菓子”に対して“甘い風”と持ってくることですね。フワッとした感触や甘い匂いとか、そうゆうものが前半で全部出てくるわけですね。いらない言葉も少しあります。それはなにかというと、“風”とあれば“吹く”が必要なのは、よっぽどなにか事情があるときですね。となると、この“吹く”の2音をどう使うか、という話になるのですが、2音もあれば俳句は色々できる。たとえば、夏の夜のどうゆう時間帯、どうゆう場面か、軽く添えることができる。“なつのよる”で5音ですが、“なつのよ”なら4音ですね。“夏の夜の”のあとに帰り路と書いて“帰路”と読みます。短い言葉ですけども、帰り道という状況がポンと出ます。

夏の夜の帰路 綿菓子の甘い風

「風甘し」と最後カッコよく言うこともできるんですが、作者がこんなきれいなお嬢さんとわかりましたから、“甘い風”の方がご本人の気持ちに沿ってるんじゃないかと思います。

特待生3級


ミッツ・マングローブ
[現状維持]

人熱(いき)れ 頭上に踊る 祭笛

ミッツ:やっぱり祭りって人がブワーッとね、湿気と暑さでむんむんとしてるとこ、なかなか前に進めない、その上をお囃子がピーヒャラピーヒャラ聞こえてくる。音の自由さが涼しさを運んできてくれる、という。。。


夏井先生:この俳句の評価のポイントは、ズバリ中七の“踊る”。
“祭笛”という季語の中に、踊るような躍動感めいた気分は確かに入っている、と。この句の発想は非常に面白いと思います。あの写真からこれにくるのは、さすが特待生。ここの発想の部分も強く褒めたい。ニュアンスが伝えきれてないのは、問題が2ヶ所あります。まずひとつ、“踊る”の気分の問題。いまお聞きすると、非常に涼やかな祭笛、その言葉がいいですねぇ。となったら、走るように流れてくる、“祭笛走る”ぐらいにした方が涼やかさが違ってくると思います。風の気分がスッと流れますね。
さらに、もう一ヶ所問題なのが、“踊る”というのは“人熱れ”が踊るとも読めるし、“祭笛”にかかってゆくとも読めるので、この辺が曖昧である。そこを微調整するだけで今日は行けるはずだったのに。。。
“人熱れの”、ここ字余りになってもいいから“の”を入れます。“頭上に”じゃなくて、“頭上を”です。“に”というのは場所ですが、“を”というのは経過する時間・空間ですから、ここは“を”ですね。

人熱れの 頭上を祭笛走る

そうすると涼やかさがスッと残ります。非常に今日は惜しかった、もったいない。

特待生1級


フルーツポンチ村上[現状維持]

水ヨーヨー 透かす夜店の 灯りかな

村上:写真見てお祭りって考えた時に、夜店の灯が美しいな、と。それを主役にしてあげたいなと思ったときに、ヨーヨー釣りの水ヨーヨーって薄いから透けるじゃないですか、灯が。その灯が夜店の灯だったらなんとも美しい、と。


夏井先生:この句のポイントは、下五“かな”の詠嘆が、是か非か?
(『評価がキビシイー』という村上に)名人になろうかという人間が、この程度のことで『キビシイ』って、将来真っ暗です。
この“透かす”っていうここの言い方なんですけど、俳句がちょっと作れるようになると、みんななんでもかんでも透かしてみたくなるんですね。『夜店の灯に透かす』『月の光に透かす』『太陽に透かす』、オケラだってミジンコだって太陽の下で生きている、ああなっちゃうわけですねw そこらへんも迷人になるための情報としてお伝えしておきます。そして、“かな”という詠嘆に2音使うよりはもっと描写の精度を上げましょうよ、あなたが語ったような美しい透け方になるように。そのふて腐れた顔やめてくれる!
まず、“かな”を別のものに変えましょう。“夜店”からいきましょうかね、今回は。“夜店の”のあとの「あかり」とやったら3音ですが、「ひ」としたら1音です。“夜店の灯”とあって、そのあとですよ、“透かす”といったら動作だけど、“透けて”と言ったら映像になります。“水ヨーヨーの”最後の抑えが大事。水ヨーヨーの色を入れます、青でも入れてみましょうか。

夜店の灯 透けて水ヨーヨーの青

そうすると、最後透明感のある青の向こう側に夜店の灯を認識できる、ここまで押さえてくれたら名人に行っていただきたいけど、この押さえが思いつかないうちはあんた名人無理!

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