“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

第一回俳桜戦~上位編(4/6放送分)

time 2017/04/08

今回は名人・特待生8人が集結(梅沢名人・円楽特待生は欠場)し、現在のランクとは関係なく、ガチンコ勝負でタイトルを争う特別編です。


俳桜戦のテーマ『満開の桜』

(→下位編はこちら

第4位


中田喜子
[特待生5級]

初桜 響けるひづめ 皇居へと

中田:東京駅から皇居まで馬車を走らせてくれるんですよね、宮内庁では。蹄の響きがとても心地よくて、タイムスリップしたかのような光景だったものですから、桜と蹄を結び付けて、光景を詠みました。


夏井先生:綺麗な句ですよね。頭の“初桜”という季語がきれいですね。初々しい華やぎのある季語があると。“響ける”、音ですね。なにが響けるのかというと“ひづめ”ですから馬かな、と想像する。最後“皇居”、場所が出てきて、“へと”という助詞もうまい使い方してます。よく工夫してらっしゃる。
もったいない所を言うとすれば、主役となるべきは季語ですから、遠景から最後に“初桜”へ持っていく方が得かもしれません。

皇居へと 響けるひづめ 初桜

逆転するだけ。そうすると、映像を思い浮かべてください、頭で皇居の全景が遠景として出てまいります。響けるなにか音がする、蹄が出てくると馬車かもしれない、と。そこで画面がずっと引いていくと最後に初桜の映像がキラキラ画面に残ってゆく。
焦点が向かうからこっちにくるとすると、季語がさらに活きてきたかもしれません。
5級でこういう句を作るとはビックリしています。

第3位


千賀健永(Kis-My-Ft2)[特待生3級]

桜花 風の名残の 空の波

千賀:桜が風に打たれて花びらが舞うじゃないですか、それが波のように見えるな、というので、それを見て、“名残”という言葉を今回使わせてもらったんですが、思い出というか、「そこに僕が居たんだよ」と感じさせる言葉として使いました。


夏井先生:本当に綺麗じゃないですかね。悪いけど、作者が分かってビックリした。いつの間にあなたはこんなに上手になってるんですか? 勉強したでしょ?
千賀:3日間僕もオフがあったんで……ジャニーズって意外とヒマなんだよw
夏井先生:本当に嬉しいです、こんなに成長してるなんて。特に、中七下五の表現が綺麗ですね。頭に“桜”って季語が出てきますから、桜の並木が風打ってるか、花びらがバーッと動くか、そうゆう光景が読み手の脳の中で見事に再生されますねぇ。
一文字だけ変えてもいいですか? なにが惜しいかというと、この桜花の“花”が惜しいんです。「桜花」は伝統的な美意識を持った言葉なんですけど、その分生々しい桜の映像の新鮮さが逆に欠けていく。どちらを使うかは使いようなんですけど。
この句は、上五も映像にした方が絶対いいです。
例えば、桜の樹が咲き満ちてるなら「花満ちて」とやってもいいですよね。花びらだけが風に舞っていって“空の波”になるなら「桜花びら」と、こうゆうリフレインも綺麗ですね。どっちも合わせて表現したかったら、

桜さくら 風の名残の 空の波

とやったらいい。これがずっと出来るようになったら、特待生駆け上れますよ。

第2位


横尾渉(Kis-My-Ft2)[名人初段]

夜に入りて 雨となりにし 花万朶(はなばんだ)

横尾:桜を見に行って、そのあとみんなでご飯を食べに行ったら、急に雨が降り出して、さっき見た桜はいま散ってないかな?という思いにふける俳句。


夏井先生:綺麗じゃないですか、これもね。3位も2位も桜そのものを丁寧に詠もうとした、これを若い2人がやっていたことに驚きましたね。
頭の“夜に入りて”で時間経過が云えてる、“雨”という状況が出てくる、最後に“花万朶”という美しい光景が広がっていくわけですね。
もったいないのは、ほんのちょっとしたこと、“雨となりにし”と持って回ったような言い方ですけども、ふつうに“なりたる”と完了存続の言い方でなにも問題ありません。

夜に入りて 雨となりたる 花万朶

こうすると、目の前に夜の光景がゆっくりと広がって雨になる、そして花万朶は夕暮れの光の中、夜の光の中にうっすらと広がるわけで、花の濃淡の何と美しいことか。本当にうっとりしました、いい句ですよ。

優勝(俳桜)


東国原英夫
[名人初段]

野良犬の 吠える沼尻 花筏(はないかだ)

東国原:野良犬が人里離れた、寂びれた沼地に吠えてるんです。薄暗いね、見ると沼尻に花筏が浮いてる、それに吠えてる。これは。。。花筏の下に何かがあるのか…、ダダダンッ、ダダダダダン!(笑)


夏井先生:本当に巧いですねぇ。まずは季語から押さえましょう。“花筏”、桜の花びらが水面にこう浮かんで、流れていく様子を筏に例える、そんな季語ですね。しかし、この花筏は流れているというよりは、沼ですから、水の端っこに淀んでいるようなかんじがしますね。沼尻というのは、地名の沼尻もありますけど、まぁこの場合は沼の端っこのところという風に解釈したんでいいんじゃないかなと思います。
一句の作りも巧みです。“野良犬”、ただの犬ではないです。そこらの食い物を漁るような、ちょっと不穏な感じのする犬がうろついている、しかも不穏な声をたてている。映像と音が出てくる。沼が出てくると、光景とともに、沼のちょっと腐ったような臭いもします。聴覚、嗅覚をさりげなく刺激しながら、最後に“花筏”に着地するわけです。
花筏は普通美しいものですけど、この語順で詠んでいくと、この花筏も淀んで、不穏で不思議な世界がこの一句の向こうにあるんじゃないかと思わせる。
一句の世界の奥行きにはそういう場面もあるにちがいない。
これは直すところはどこにもない、巧い!

こうして、初のタイトル戦は東国原名人の“俳桜”ゲットで終了となりました♪

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