“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

第一回俳桜戦~下位編(4/6放送分)

time 2017/04/07

今回は、俳句査定の名人・特待生8人が集結(梅沢名人・円楽特待生は欠場)し、現在のランクとは関係なく、ガチンコ勝負でタイトルを争う特別編です。


俳桜戦のテーマ『満開の桜』

最下位


NON STYLE石田
[特待生3級]

次々と 酒豪を倒す 桜かな

石田:桜を綺麗とか、そういうのが嫌だったので、もっと下品な言葉で俳句にしたなぁ、というのがありまして。(花見で)酒豪がね、いつもは酔わない人がどんどん酔っぱらって、それは満開の桜のせい。最終的にでっかい桜が見えたらよいなと思ったんですけども、すみませんでしたーorz


夏井先生:じつはこの句は、作者の意図を聞いて、ひょっとしたら順位が入れ替わるかもしれないなと可能性を感じてまして。いまやる気のない返答を聞いておりまして、この順位で正しかったです。
個人的にはこの句は嫌いではないです。なにが面白いかって、この一句がナンセンス漫画みたいになってる。桜が怪獣みたいにわーと暴れ出して酒豪たちに「酒ばかり飲んでんじゃねーよ、花を見ろ!」ってバタバタ倒していく、そんなナンセンス漫画を俳句で実現しているんだとしたら、これはこれで一つの境地だな、と。そうゆうふうに言ってくれるかなと密かに期待しておりましたが、割と普通のことを仰いました。そこがもったいない。元々面白い発想をお持ちなのだから、自分の作品をもうちょっと客観的に見て自分のよいところを把握すると、これもまた生き返る作品ではないかなと思います。
ご本人の言いたいことに言葉を寄り添わせていくとどうなるか、を一応やってみます。
“ら”を足すことで“次々と”のイメージを出します。“倒す”はナンセンス漫画的で、あなたの意図が変わってきますので、別の動詞を畳み掛けます。

酒豪らを 酔わせ捩じ伏せたる 桜

こうすると、いまあなたがおっしゃった映像には近づきます。ただ、どっちの句が好きかと言ったら、私はナンセンス漫画の方が好きかもしれない。

第7位


ミッツ・マングローブ
[特待生3級]

薄づきの ひとひら数ふ 花衣

ミッツ:ずっと桜に対してイメージが子どものときからあって、桜の花びらって1枚だけで見ると白いんですよ。1枚だと薄づきの花びらがパラパラって降ってきて、肩とか腕に何枚か重なったときに桜色になる。それが花衣、衣裳をまとった様なかんじになるというのを詠みたかった。


夏井先生:作者がわかって非常に納得してるのが“薄づき”という言葉なんです。パッと読んだときに、淡い色に出るお月様のことかなって思ったんです。「薄月」のひとひらって綺麗でしょ、詩の言葉として。“数ふ”っていうのは、ひとひら数えるのか、花衣の人がいっぱい出てくるのか、非常に読みを迷った。作者がわかって、薄づきというのは化粧用語でね、自然の薄付き。。。そういう方向にあるとわかったら、中句でもう少し説明してあげないと、お月様と思った人に対して、読み解くのが難しいかな。
薄づき=花びら、なんだという情報が入らないとしんどい。
ミッツ:ひとひらじゃ、花びらにならない?
夏井先生:あとで“花衣”が出てくるから、あなたの頭の中ではなっているのは十分わかる。しかし(他の人が)文字だけを読むとまずお月様の方に意識がいってしまう。
もったいないですね、発想が美しいだけにね。
「花びら」も「桜」の季語をあらわしたりするんですけど、あえてちょっと特殊な技を入れ込んで、「花びら」を使いながら「花衣」を主役にします。簡単なことなんです。中句にリフレインで入れるだけ。

薄づきの 花びら花びら 花衣

こうすると、重なって色が出る、そして数えるというイメージも一緒に入ってきます。わざとリフレインさせることで季語“花衣”が大きな印象として残ってくる。
これぐらいやってくれると、あなたもスッと(上へ)行きます。

第6位


FUJIWARA藤本(フジモン)
[名人2段]

卒業の マントに風を なびかせて

藤本:桜って、僕だけかもですが、大正時代のイメージがあって、大正時代の男子学生、マントを学生服の上から羽織ってる、卒業式で夢と希望に満ちあふれた颯爽としている姿を俳句に表現してみました。大正時代です!


夏井先生:いま話を聞いて、桜が大正時代のイメージだと、ああ、そういう発想で出てきたのか、となるほどなと思いました。しかし、全体を読んだときに詰めが甘いというんでしょうかね、これを読んで大正時代の男子学生はなかなか思い浮かばない。私も異国の、イギリスとか、ハリーポッターの魔法学校の卒業式とかw
音数を2音節約して、歩いていく人物を想像できる動詞を1つ入れます。

卒業の 風をなびかせ 行くマント

こうすると、最後にマントがなびく様子、立ち去っていく人物が見えてくるので、少しだけ男子学生の姿が見え始めるかもしれませんが。。。いずれにしても、詰めが甘い名人。

第5位


フルーツポンチ村上[特待生2級]

エルボーの 子の迎え撃つ 花吹雪

村上:桜吹雪に対して子どもが肘を当てて戦っているかんじなんですけど、大人は桜を愛でたりしますけど、子どもは桜吹雪にじゃれるというか、桜って色々な楽しみ方があるな、と。


夏井先生:発想は面白いですよ。私はこの句の発想自体は嫌いじゃないですね。ただね、もったいないんですよ。花吹雪と言う格調のある美しい季語に、エルボーかます、という面白い発想を手にしてるのに、語順で損してる。
こうゆう場合は本当に自分が子どもになりきってください。どこかよそで見ているかんじがあるから語順をミスったんだと思うんですが、自分が子どもになりきって詠むと、花吹雪の迫力が変わってくるんです。花吹雪からです。花吹雪が来ます、正直に書きましょう。

花吹雪くる エルボーで 迎え撃つ

子どもとか言わない方が句の世界が広がります。そうすると、子どもかもしれません、子どもになりきっているのかもしれない、その子を見てる大人かもしれない、失恋した村上くんが破れかぶれで「エルボー!」でやってるとか(笑)読みが広がる方が得なんです。子どもって限定しない方がこの句の発想は俄然生きてきますから、語順を変えてくれたら、スッと順位も上に行くんですよね。

⇒上位編につづく。。。

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