“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

卒業式(3/9放送分)

time 2017/03/09


今週の俳句テーマ『卒業式』

最下位:凡人


西田ひかる[45点]

卒業や 夢追う子には 通過点

西田:子どもを見ていて、卒業って親が感動とか勝手にしてるんだけど、子どもはケロッとしていて前向きな子どもにとっては単なる通過点であって。。。


夏井先生:最下位とはいいながら、凡人の45点はあるわけですから、言いたいことはわかりますし、どうやってオリジナリティーを入れていくかが、あとの勝負になってくるわけです。映像を入れてみましょうか。

卒業の空あり 夢の通過点

こうすると、空の映像が確保できる。例えば、水産高校なら“海あり”、農業高校なら“大地や”としたらイメージでますよね。小さなオリジナリティーの入れ方がわかってくると、この手の人はすぐ上手くなりますよ。

第4位:凡人


大和田伸也[48点]

空に翔べ 仰げば尊し 風光る

伸也:写真見るとさ、卒業生の姿が見えないでしょ? みんなもう明るい未来に向かって空へ飛びだした、だから卒業生の明るい未来をね。。。
浜田:獏さん、これ、何を言うてるの?(笑)


夏井先生:一見カッコいい句と感じられる方もいるかもしれませんが(発想が)よくあるパターンですね。卒業式でこうゆう言葉を散りばめた校長や来賓の挨拶が山のように語られていると私は思います。それが一番損してるところ。
“仰げば尊し”からいきましょう。歌ってるイメージも出てまいります。“風光る”、ここで季語が出てきます。“空に”の“に”がまずいですね、“へ”か“を”にしましょう。

仰げば尊し 風光る この空へ翔べ

第3位:凡人


千原ジュニア
[58点]

卒業式 中高一貫 あくびかな

ジュニア:僕は中高一貫6年制の学校行ってたんですよ、だから中学から高校へ上がるときの卒業式、何も感じないんですよ。感動も何もなかったんです。それを詠んだら、こんなことになりましたorz


夏井先生:やっぱり中8、頭が6(音)っていうのは、ここのリズムはもったいないです。ただね、卒業式からの句材としての実感はとても強くていいと思います。字余りは上五に持ってくるのが定石、そろそろ覚えてください。語順を入れ替えて、

中高一貫 卒業式の大あくび

こうすると、着地が決まるでしょ。
この素材はホントいいですよ。ヘタにカッコいいことしたら、いままでスベってきたじゃないですか。こうゆうことを丁寧にやっていただけたらと思います。

第2位:才能アリ


山崎紘菜[70点]

卒業と 知らぬ老犬 すやすやと

紘菜:卒業式に向かう通学路で、いつも会う老犬がいて、卒業式だから会えるのは最後だけど、それを知らない老犬はいつも通り寝てる、ということです。


夏井先生:発想が瑞々しいじゃないですかね。卒業式の写真を見て、ここにいくまでの朝を連想すると。私はね、自分が飼っている愛犬のイメージで読みました。いつも学校行く前に撫でたり、行ってきますって言ってるんだけど、そうゆうのも今日で最後と。交流が強くにじみ、そのように読んだ方が素敵かなと感じます。
“知らぬ”とか“すやすやと”とか、素直な言葉遣いで直せないことはない、ですけども、作者の手触りがなくなるので、この句はこのまま味わった方がいいんじゃないかな。

第1位:才能アリ


大和田獏[72点]

行く春や 学び舎の影 踏んでみる

獏:卒業式を終えて、名残惜しい校舎を出た、ちょっと振り返る、その過ごした日々の思い出が蘇る、楽しい思い出や辛い思い出、それら思い出に決別していく気持ちで学び舎の影を踏んでみる、という。。。


夏井先生:“行く春”って晩春の季語なんですね、4月が晩春。その頃に、もう卒業して何年か経って母校を訪れて感慨を噛みしめている、と私は読ませてもらいました。
“踏んでみる”がダメってことじゃないんですが、少し軽すぎるっていうですかね、もうちょっと重い感慨だったら、ちょっと変えるだけで色々表現できます。
“踏み行きぬ”としたらちょっとどっしりとした感じになります。“踏み過ぎぬ”なら歩き去っていく感じですね。さらに“踏み仰ぐ”なら、踏んで一旦とまって、振り仰ぎ感慨を噛みしめる、というニュアンスに変っていくわけですね。いかがでしょう?
獏:“踏み仰ぐがいいですね。ただ、割と「さらば」というかんじの、あまり重たくしたくはなかった。
夏井先生:それでしたら“踏んでみる”で何の問題もない。改めて感心しました。

特待生4級


NON STYLE石田
[1ランク昇格]

学ランの 丈長きまま 卒業す

石田:僕、すごく成長が遅くてですね、兄貴たちはけっこう中学でバンッと伸びたんですけど、それに合わせて親が学ラン大きめの買ったんですけど、全然伸びなくて丈がずっと長いままで、座った時も長くて目立ってたんですね。やり残した感と”高校ではもっと伸びるぞ”って気持ちがあって。。。


夏井先生:“学ラン”という言葉が成功しているか、否か?
“制服の~”でもいいわけじゃないですか。学ランというのは、詰襟の学生服の略称というのが一つ、応援団の長い学ラン(が一つ)、不良ぽい子たちが着てたりする、あのスラムダンクの桜木花道の友達みたいな(笑)私ね、スラムダンク全巻持ってる(^^
そんなことはさておき、学ランと言った瞬間に、なかなか背が伸びなかった普通の子、応援団の活動を頑張った子、不良のまま卒業する、「一人であんな格好で」って心配する母親も出てくる。なぜ、そんな読みがいっぱいあるのがいいかというと、季語が「卒業」だからです。卒業式にはいろんなタイプの子がいるわけですね、そんな読みの広がりが「卒業」と言う季語の本質を提示する。だから、“学ラン”は成功している。お見事でした。

特待生3級


フルーツポンチ村上[1ランク昇格]

卒業の 駐輪シール 並ぶ朝

村上:卒業の日の朝に、学校の駐輪場に、もう並ぶことはないだろうなぁという学校指定の駐輪シールを貼られた自転車が並んでいる。学校自体そうですけど、通学路ももう通うことはないだろうなという気持ち。。。


夏井先生:“駐輪シール”という俗な言葉を入れたのが成功しているか、否か?
この人は本当にどうでもいいものにポイントを当ててリアリティーを作り出すという、見事な作家だと思いますね。ふつうの人なら「自転車並ぶ朝」とか、やったっていいわけじゃないですか。これ(駐輪シール)持ってくるって大した目の付け所ですね。
で、映像が上手いの。駐輪シールの1枚の小さいヤツがクローズアップされていて、同じものが向こうにずっと続いていて、向こうに行けば行くほどぼんやりしている。
この映像の作り方が本当に上手い。で、最後のトドメが“朝”でしょ。朝という時間の空気も、これから卒業式が始まる、こうゆう空気も全部出す。
お見事!

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