“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

月と鎌倉大仏(9/21放送分)

time 2017/09/22


◎今週の俳句テーマ『月と鎌倉大仏』

最下位:才能ナシ


大沢あかね[20点]

大仏の頭は 月見団子かな

大沢:大仏の頭のイボイボが、月に照らされて月見団子に見えた、十五夜に食べる月見団子。。。ねぇ、名高さん、いいですよねぇ?
名高:そうですね(苦笑)


夏井先生:久々に腹立たしい句。えー、まずね、“頭は”消して、“月見団子”から始めるわけです。そうしたら、読んだ人はまず“月見団子”を思い浮かべるよね? 月見団子の句だなと思って読んでいくとあとで大仏が出てくる。月見団子みたいな、を“めきたる”って、月見団子みたいだよってことですね。ここで大仏がおもむろに出てきます。“大仏の頭”でもいいんですけど、イボイボのことを“螺髪(らほつ)”っていうの、辞書引けば出てきます。
一同:へぇー。
夏井先生:なにが『へぇー』だよ、観客! 読んでいいですか!?

月見団子めきたる 大仏の螺髪

(螺髪は)こんな字を書きますね。こうするとひとまずあなたの言いたいことはちゃんと文字面にはなります、でもね、丸いものを見て団子、この貧困な発想から生まれた、なんの実りもない句だと思いますよ。

第4位:才能ナシ


名高達男[30点]

名月や 今昔変わらぬ 黄金色

名高:中秋の名月の秋に、大仏様のね、今も昔も変わらない、黄金色というか、この輝きは自分の目に焼き付いている、その姿を現している。。。


夏井先生:大仏って書いてない以上、中七と下五は全部説明、季語の説明になってるわけです。ですから、これ17音で書いてありますけど、じつは4音あれば足りるんです。“名月”で終わるんです。そういうタイプの句なんです。せめて大仏だと入れると、少し変わります、やってみます。
(中七の)ここら辺から始めましょうかね。“今昔”(消しながら)はどうでもいいです、自分の心の中で思っててください。“変らざる”とつなげていきます、ここから“黄金”はご本人としては大事なポイントです、“黄金に”と、こっち(頭)に来るんです。“名”はいらない。“月も大仏も”と。

変わらざる黄金に 月も大仏も

こうすると写真はひとまず描けます。でも、直したところで、発想が…
浜田:言うな、言うな!!
夏井先生:そんなところです。

第3位:凡人


手塚理美[50点]

月見酒 満たされもつれる 足元よ

手塚:まぁ、そのまんまなんですけども、秋の夜にお友達とお酒を飲み交わして満月にも満たされて楽しく酔っぱらってる。


夏井先生:この中七の(字余り)問題は絶対に触らないといけない問題ですね。ただね、タブーではなくて、一種のテクニックとして使われている場合はいいんです。例えば、もつれている足どりを字余りで表現するってのもあってもいいんですが、この中七はテクニックとしては全く機能してない。で、ここらへん、ちょっと下五の字余りでもつれたかんじを表現をするというのを、やってみますね。
これ、ちゃんと満月の姿を書きましょうか。“満月に酒に”ここにリフレインしてみます。“もつれ”は言わなくていいです。“満たされたる足どり”と。ここらへんで字余らせる。

満月に 酒に 満たされたる足どり

そうすると、この字余りの部分がこう、ちょっともつれた、酒に満足した足どりが見えてくる。字余りも使いようだと思ってください。

第2位:凡人


篠原梨菜
[53点]

夕月夜 まとうは白き 衣なり

篠原:夕方が過ぎて月が出てきて、白い月の光に照らされて大仏様が白い衣を着ているように見える句です。


夏井先生:これはね、一見すごくカッコよく書いてるように見えますが、じつは自分の伝えたいことが半分も伝わってないタイプの句なんです。問題点は3つあります。まず1つ目はどこにも「大仏」という情報が入ってないんで、この句を読んだ人は白い衣を来た人が立っているとしか思いません。2つ目、“まとう”があれば“衣”はいらないのではないか、“衣”があれば“まとう”はいらないのではないか。3つ目、“夕月夜”という季語は、夕方から上がった月が夜になってもずっと上ってるという時間の情報が軸になってる季語なんです。この句の場合は、時間情報じゃなくて、映像として月の光が白い衣のように見える、という映像を軸にした季語を選ばないととても損をする。直しますよ。
まずですね、“夕”と“夜”が時間の情報になりますからこの2つを消して“月光”にしましょう。“衣なり”はバッティングするから消す。“大仏”をどっしりと出します。

月光を まとうて大仏の白し

そうすると最後の“白し”っていうのが月光だなと映像が結ばれるんですね。こうしたら、文句なく”才能アリ。”

第1位:才能アリ


千原ジュニア
[72点]

大仏を 拝むボクサー 朝の月

千原:近所でボクシングやってる選手が早朝ロードワークしてるんですね、それで試合があるんで『今度勝てますように』と大仏を見て足を止めて手を合わせてる、みたいな。。。


夏井先生:上手いです、本当に。上手くいくときはこんな風に上手くいくんですね。作者がわかってホントに思いました。まず、あの写真からボクサーを思い浮かべる、この発想がいいです。それからもう一つ褒めると、“大仏”という大きなものに対して“ボクサー”という人を配する、写真を撮るときでも大きさがわかるように人間とか配置したりするじゃないですか、あれと同じです。ここの対比のおかげでどっちも活きてくるというところもありますねぇ。丁寧によく作り込んだなぁと感心をしております。もったいないところが1点だけです。試合に勝てますように、拝んでるってそれは十分わかるんですけど、全体読んだときにこの神頼みが『弱っちいなぁ、ボクサー』ってかんじがしないでもないんですよ。ボクサーの闘志のようなものを1点ここに入れると、俄然いい句になります。
ジュニア:“睨む”?
夏井先生:エライ! わかるんなら書けよ!って話ですよw ここ、睨んだ方がいいでしょ、あなた。

大仏を 睨むボクサー 朝の月

ジュニア:そうかぁ~。たしかに行儀よくやり過ぎてますね。
夏井先生:この“拝む”だと他力本願なかんじが前に出るでしょ、大仏を睨み上げる闘志、こうやったら点数はもっと跳ね上がったよね、もったいないんだよ、この男は本当に。
浜田:先生、ジュニアは特待生はまだですか?
夏井先生:信用ならないじゃないですか、本当にもう。。なんとかしてくださいよ、あんた。

特待生1級


フルーツポンチ村上[1ランク昇格]

夜晴れに ベリッと剥がせそうな月

村上:晴れた夜にある月って、あまりにも美しくて、取って付けたかのようで、浮かんでるというより剥がせそうなくらい美しいなってだけの俳句なんです。空に月が浮かんでる、って画しかない、スゲー怖いなと思っちゃう。


夏井先生:この句のポイントは、“ペリッ”というカタカナの擬態語、これが成功しているか、否か。
本当にリアルな一句になりましたね。良いところから褒めましょう。“ペリッ”っていうカタカナの書き方、浮き上がりがちでなかなか難しいところはあるんですよ。逆にここにリアリティーが出てきたかなと思います。それから“剥がせそう”というこの言い方ですが、別の言い方で「剥がれそう」という言い方だってあるわけですね。でも「剥がれそう」は月が勝手に剥がれ落ちる、「剥がせそう」は手が届いて自分で剥がすことができそうなわけで、そこの感覚も瑞々しいと思う。そして語順、それはいったいなんだろうと思った最後に月の映像がポッと浮かぶ、ここら辺のやり方、語順の選び方もうまいと思いますね。やっとこの人の持ってる、この人にしか書けない瑞々しさみたいのが戻ってきたなぁ、と。
ただ、1ヶ所だけアドバイスさせてください。“夜晴れに”の“に”が気になるでしょうか。“夜晴れに”が説明的なニュアンスになります。ここをですね、

夜を晴れて ベリッと剥がせそうな月

こうすると、「夜」という時間がくっきりと取り出されて、晴れてると暗いけど青いってのがわかるんですね、じっと見つめると、これで効果的になりますね。ともあれ、あなたには本当に期待しておりますので、ここから精進してくださいね。

名人初段


横尾渉(Kis-My-Ft2)[1ランク昇格]

秋の暮 街路に鳩の ふくみ声

横尾:鎌倉って閑静な住宅街ですし、お寺さんとか静かじゃないですか。静かな場所を表現したかったんですよ。お寺とかそうゆうところには鳩がいるんで、鳩の仲間を呼ぶ声が聞こえてきたら静かな場所だな、これで「お寺」とか「夜」を表現できたらと、チャレンジさせてもらいました。


夏井先生:この句のポイントは、下五の“ふくみ声”という表現を選んだこと、この是、非です。
上五の“秋の暮”というのが季語になりますね。これは詩歌の世界では伝統的な光景なわけです、「もののあはれ」を含んでいるわけですね。次に出てくるのが“街路”、文字通り、街と道ですね。そのあとに鳩が出てくる。この語順・映像の描き方も丁寧に描いているということが1つ言える。そして、最後“ふくみ声”というのは、口の中にふくんだような、あの鳩独特の声ですね。やわらかい、優しい、そんなイメージも含んでおりますね。ここ最後、優しい感じの声が出てくることによって、頭に出てきた“秋の暮”のもののあはれの気持ちというのに、この声が寄り添っていく効果があるんですね。
よく勉強した、その成果が出たと思います。
(直しは?)直しはいりません。

名人5段


FUJIWARA藤本
[1ランク昇格]

大仏の 御手から月は 生れます

フジモン:毎晩大仏様が手の中で月をこしらえて夜空に浮かべてる気がしたんですよ、フワッと。


夏井先生:この句のポイントは、下五“生れます”のような口語表現が、成功しているか、否か。
素敵なところから褒めましょうかね。一番素敵なのはあなたのその発想ですよ。大仏の御手からなにかが生まれるという句は、いままで全くないわけではないんですけど。今宵の美しい満月は大仏様の手のひらから生まれたかのようだ、なんて本当にこの人の句には心を癒される気がしてまいります。で、表現する側として悩むのはここのポイントなんです、“から”というのと“ます”っていうのと、ここのポイントを悩むんです。
例えば、“から”というのは別の言い方をすると、「より」という言い方もできるんです、「御手より」という風にね。“から”と「より」はなにが違うかというと、“から”は話し言葉的な使い方、「より」は書き言葉的な使い方になるんです。ですから、「御手より」を選んだとしたら、“御手より月は生まれけり”みたいな言い方になるかな、と。そうなったときの効果と、“御手から月は生れます”の口語の効果、どっちを選ぶかは作者自身が選び取るべきなんですね。やっぱり、この“生れます”の優しい言い方があなたの作品の世界に似合ってると改めて思いましたね。
(直しは?)直すところは1つもございません。

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