“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

≪番組対抗≫夏休みの宿題(8/31放送分)

time 2017/09/01

今回のプレバト!は、TBS系の人気番組が集結し、才能を競い合うスペシャル版。
出場番組は[サタデープラス][炎の体育会TV][ピラミッド・ダービー][アッコにおまかせ!][渡る世間は鬼ばかり]の5つに、プレバト!の名人達が迎え撃ちます。
俳句査定では、各番組の代表者1名と梅沢・フジモン両名人によるランキング戦を♪


◎今週の俳句テーマ『夏休みの宿題』

最下位:才能ナシ


小島瑠璃子
[サタデープラス]

アロハシャツ ゆれてそぞろな 負の遺産

小島:アロハシャツがあって、それが揺れてるんですが、それを見ながらハワイに行ったこと思い出してる、夏休みに。それで、ハワイに行く前にやらなかった“負の遺産”の宿題が大量に残ってる、という状況です。


夏井先生:(意味が)全くわからない。負の遺産が宿題ってどこにも書いてないじゃないですか、だから読んだときに全く意味もイメージもつかめない。ただ、アロハシャツが揺れているだけ。カッコいい言葉を使って全く意味の解らない句を作るのが”才能ナシ”なの。これ、パターンですね、ホントに。直すったってと思うんだけど、“負の遺産”が一番好きなんでしょ?
小島:もう、それなくて、“アロハシャツ”を生かしてください。
夏井先生:いや、“アロハシャツ”は季語だから残すしかないんですよ。そしたら、負の遺産=宿題だって書くしかないですよ。“宿題”って入れようと思うとどこか消さないといけないでしょ? “アロハシャツ”は消せない。“ゆれて”もアロハシャツがゆれてるんだからおいとく。(消すのは)ここ“そぞろな”です。もう1音ください(“て”を消す)“アロハシャツゆれ”、ここで書くだけよ、もう。

アロハシャツゆれ 宿題は負の遺産

一応意味は分かりますよ。
小島:じゃ、“宿題は”にしたら、どこですか、才能?
夏井先生:いや、所詮才能ナシです。
一同:(笑)

第6位:凡人


上田竜也(KAT-TUN)[炎の体育会TV]

宿題を 睨む背中を 叩く秋

上田:宿題を一生懸命やっている間に夏休みが終わりかけて、すぐ後ろに秋が来てるよ、という句です。


夏井先生:絵日記があって、夏休み→宿題、と。この発想というか、連想が本当に凡人たる凡人ですね。“叩く秋”という、ここの擬人化、秋が叩くようだという擬人化にささやかな工夫はあるんですよ、あるんですけども、平凡な発想を安易な擬人化でくるんで、なんかやった気になるのが凡人。で、“睨む”“叩く”と動詞が2つ入るのも、やりようによっては。。。ってことなんですが、初心の頃は動詞1つから練習するというのが一つのやり方ではあります。せっかくあなた、ささやかな工夫は“叩く秋”にしかないわけですから、ここは生かしてあげたいですね。こうゆう場合にいきなり“宿題”だとネタがばれてしまうでしょ? こっから始めるの、“背”から。“せなか”と言ったら3音かかります、“せ”って言ったら1音で終わります。“中”を取るだけで2音節約できる。“背を叩く秋”、ここから徐に“宿題”が出てくる。なにが背を叩くんだろう? ここでカットが切れて、“宿題を睨む”のあとに、節約した2音をもう一言、単語を1つ足して臨場感を表現する。一番ドキドキする夏休み最後の“夜”。

背を叩く秋 宿題を睨む夜

そうすると、最後の“夜”というのと、“叩く”→“秋”、“睨む”→“夜”というふうにここで対比も出来ますね。調べが少し面白い調べになる。

第5位:凡人


ウエンツ瑛士[ピラミッド・ダービー]

ヴァーチャルの 夏雲はしゃぐ 名子役

ウエンツ:僕が小学生の頃は、夏休みが一番仕事が入りやすくて、夏休みの思い出となると、当時NHKやってたので、全部グリーンバックだったんです、全部CG、合成で。その夏雲を見て、そこにはないけどはしゃいでた、そんな子供時代を思って書いた。けっこうよくないですか?


夏井先生:“ヴァーチャルの夏雲”という言い方をしたときに本物の夏雲ではないわけですから、季語としての鮮度はやっぱり落ちるわけですね、どうしても。季語の鮮度を少しでも保つために、前半の語順を変えた方が得なんです。実際に変えてみます。
夏雲から始めると、読んだ人の脳に夏雲が生き生きと出るでしょ。“夏雲はヴァーチャル”、ここでカットを切るわけ。そうすると、本物の夏雲を思い浮かべたあと、ヴァーチャルなんだ、って思うけど、まず夏雲を生き生き思い浮かべてるから、こうすることで季語の鮮度がほんのちょっとだけ保てるわけですね。
あと後半です。ここをどうするか、なんですが、色んな展開があるんですが、いま聞く限りはNHKでやってたのね? 天才てれびくんだよね? 私も同じスタジオにおりました。
ウェンツ:えっ?
フジモン:出てましたよ、俳句の先生でね。
夏井先生:で、私がちょっと引っ掛かったのはやっぱり“名”です。ホントに“名”はいるんでしょうか? “めいこやく”で5音にしたいから無理やり“名”を付けただけじゃないの?
ウェンツ:違いますよ。
夏井先生:いや、私はそう思う。ここ、あのNHKのあの場面なら、子どもたちがいっぱい、てれび戦士がいっぱいいてね、もっと明るくしましょうよ。俺は「名(子役)」だ、とか見栄を張らずにね、“子役ら”、複数にします。

夏雲はヴァーチャル 子役らのはしゃぐ

こう来るわけですよ。子どもたちがワーッとはしゃぎます、そんなかんじになりますね。
あなた、発想だけは面白いんですよ。
ウェンツ:ね? 僕は名子役です!
夏井先生:(“名”をさらに)消しておきまっす!!

第4位:才能アリ


勝俣州和
[アッコにおまかせ!]

ふるさとが 我が子育てよ せみのから

勝俣:自分の育った故郷に自分の子どもを連れて行ったときに、故郷が自分の子どもと遊んでくれる、故郷が育ててくれる、その巣立っていく姿が蝉の殻とダブって、いつか巣立っていくのかな、と。


夏井先生:“ふるさと”というと大体つまらない句になるんですよね、上手に持ってきたのを一番褒めたいですね。じつは、“ふるさと”と“が”の間に、意味の省略があるんです。「ふるさと”の野山”が」とか、「ふるさと”で過ごす時間”が」とか、「ふるさと”という存在”が」とか、この意味の省略を上手く使っているので、一見説教臭くなりそうな内容なんだけど、ちゃんと詩にしているところがいいですね。それらが私が子どもを育てる考え方の基本になってるんですよ、と。最後の“よ”という詠嘆もいいじゃないですか。それをこう、ゆっくりとしみじみと感慨深く受け止めている。もったいないのは、小さなことがたった一つ。漢字で書けよ、って話ですね。ここはね、しっかりと漢字で書かないと、一句が締まらないじゃないですか。ここをしっかり書くだけで、

ふるさとが 我が子育てよ 蝉の殻

漢字が書けなかったんならしょうがないけど、ちゃんと漢字で書いた方が私はいいと思いますよ。
こうゆう発想をね、言葉にできるというのは、大したもんだと思います。

第3位:才能アリ


中田喜子
[渡る世間は鬼ばかり]

ずぶ濡れの子 シャツの下より 甲虫

中田:昆虫採集に行った子が通り雨に遭ってしまうんですね。虫かごに入れたらカブトムシが濡れて可哀想だっていって、自分のシャツの下に入れて、お家帰ってお母さんにシャツの下からカブトムシを出して見せる、そういう情景を詠みました。


夏井先生:臨場感があるというとこ、褒めたいですね。ただの昆虫採集じゃなくって、濡らさないようにという子どもの思いが、こういう言い方で表現できるわけですね。しかも語順もですね、“ずぶ濡れ”から始まって“シャツ”が出てきて“甲虫”最後に出てくる、よく考えてます。“ずぶ濡れの子”が字余りになってますね。字余りにしたいときは上五で余らせるというのは定石。さすがに、丁寧に、きちんと押さえてます。ただ、この句の内容の場合、わざわざ“子”と書く必要があるのか、という話ですね。ずぶ濡れのシャツの下から甲虫を取り出す、あるいは甲虫が出てくる、といったときに、甲虫なんてうっかり入るようなもんじゃないでしょ、これは。当然、そのシャツを着ている人物が取り出してくるというのがわかるわけですから、ここで“子”がいらないんじゃないかと。

ずぶ濡れの シャツの下より 甲虫

これで読む人は大体子どもだと判断してくれる。あえて字余りにする意味があるか、ないか、たったそれだけのことです。
中田:よく夏井先生が『もう少し細かく情景を詠むよう』言われるんです、あと語順を。なので、敢えて字余りにしたんですね。で、その字余りに気付かない中田と思われてはいけないので、提出した句に<字余り>って書いたんです。あーーん(悔)

第2位:才能アリ


梅沢富美男[プレバト!]

絵日記の はみ出すほどに 茄子の牛

梅沢:お盆なんですよ、よくお盆にかえってくる時はきゅうりの馬に乗って早く帰ってくるんです。戻るときには茄子の牛に乗ってゆっくり帰ってくださいってのが盆の礼儀ですよね。それをこんな風に詠んだんです。こんなセンスのある俳句がなんで2位なんだ? ええ、コンチキショ―!


夏井先生:絵日記をはみ出すように何かを描くという発想がないわけではないんです。ただ、それが最後の“茄子の牛”、これ全部が季語になりますね、これが最後に出てくるのはやはりうまいと思いますね。で、この絵日記を描いた子は、おじいちゃん・おばあちゃん家に行って、おじいちゃん・おばあちゃんがなんか茄子にいきなり足くっつけ始めて『なあに?』って言って一緒に作った、その経験がものすごく生き生きと残ってるんですね、だからこの“はみ出す”という描写になった。ここら辺はうまいんです。
ただ、もったいないところが。“ほどに”というのがもったいない。とにかくここがね音数合わせになってるんです。“ほどに”って言ったら3音でしょ。この3音をどう使うか、が大事な、大事なところなんです。“はみ出し”の方がいいと思いますが、3音を“茄子の牛”の描写に使うことができるわけです。たとえば、茄子って紫色ですけども、黒々と大きな牛みたいな、

絵日記のはみ出し 茄子の牛黒し

なんて、色をやってもいいですよ。あるいは、

絵日記のはみ出し 茄子の牛笑う

擬人化、こうゆう擬人化ならいいですね。
こうなると、ここ“絵日記の”も替えたくなります。

絵日記をはみ出し 茄子の牛笑う

こうゆうふうにやると、ちゃんと映像が生き生きと立ち上がってくるわけですね。
これ(句)が梅沢名人だとは思ってませんでしたっ。

第1位:才能アリ


藤本敏史(FUJIWARA)
[プレバト!]

マンモスの滅んだ理由 ソーダ水

フジモン:ある小学生の男の子が夏休みの宿題の自由研究、何しようかってなったときに、マンモスについて勉強しようかってなって、博物館行って、「マンモスってこうゆう理由で地球上からいなくなったんだ」と知って、家帰ってノートにまとめて、ひと息ついたときにね、炭酸水をビッと飲んでるという、ある一日の小学生の風景を俳句にしました。
小島:どういうこと? “滅んだ理由”は“ソーダ水”なんですか?


夏井先生:この句は「取り合わせ」という技の基本をしっかりと押さえて、基本どおり言葉を組み立てています。
“マンモスの滅んだ理由”、これが一つのフレーズです。ここで意味、カットも切れます。そこに“ソーダ水”という夏の季語をポンと入れる。そうすると、フレーズの部分と季語の部分がカチンと組み合って新しい世界が生まれる、とそういう作り方なんです。とても上手いです。作者の意図が見事に17音に入った。“マンモスの滅んだ理由”というこのフレーズだけで、「マンモス」という古代の生き物になんか興味を持ってる人物がここに存在して、「滅んだ理由」について「なるほど」と納得している。それはわかりますね?最下位の方、わかりますね?
小島:はい。それはわかりますw
夏井先生:その人物のあとに色んな季語が入る可能性があるんです。たとえば、暑い「炎天下」なんて季語があります。“マンモスの滅んだ理由 炎天下”ってやったら、化石掘っている人が汗をかきながら炎天下にいるようなかんじしませんか? 秋の美しい季語で「星月夜」っていう、星と月が綺麗な夜だわ、“マンモスの滅んだ理由 星月夜”とすると、古代のロマンを思いながら空を見上げる、みたいな気がしませんか、小島さん?
小島:しますねぇ。
夏井先生:…となったときに、“ソーダ水”という季語がでたときに人物、マンモスの滅んだ理由を初めて知ってソーダ水を飲んでるのはどんな人物? と想像する。それがこの「取り合わせ」という型の読み解き方なんです。当然これは、子どもの姿、夏休み、好奇心いっぱいでキラキラして、『マンモスってそうやって滅んだんだ』なんて思ってる子どもが浮かび上がる季語をちゃんと選んでる、そう思いませんか、小島さん?
小島:あの、、、とっても良い句ですね。
一同:(笑)
夏井先生:これを5・7・5の型を崩さずに、季語をキッチリ入れて、定石通り、基本どおりやって、見事な世界を描く。
(直しは?)もう、拍手喝采。

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