“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

夕暮れの商店街(8/24放送分)

time 2017/08/25


◎今週の俳句テーマ『夕暮れの商店街』

最下位:才能ナシ


中村江里子
[37点]

秋の暮 黄金にそまる 我が街よ

中村:やっぱり商店街は自分の街で、私自身夕暮れが好きなので、なんか夕暮れってキラキラするじゃないですか、街の中が。それを表現したかっただけなんですけども。。。


夏井先生:なにが問題かというと、真ん中“黄金にそまる”という所です。夕暮れの光景で“黄金”という言葉はよく出てきます。私が一番問題なのは“染まる”だと思いますね。凡人以下の人はなんでもかんでも「染まり」たがるんでしょうね。凡人以下の人が使いたがる、失敗しやすい動詞のトップ3、私はいつも思ってるんですが、「舞う」「踊る」「染まる」。これ、覚えていた方がいいです。
ここの言い方変えるだけで、凡人辺りにはすぐ行きます。“秋の暮”ときて“我が街”に先に行きましょう。使うのは、色なんですけども、漢字よりひらがなにした方が綺麗、“きんいろに”。あと、“そまる”の代りに“秋の暮”らしさを出す、色がずっとトーンを落としていく。“沈む”と置いてみましょう。

秋の暮 わが街 きんいろに沈む

そうすると、最後に“きんいろに沈む”という状況が残るので、グラデーションでずーっと暮れていく感じがちゃんと映像として残ります。こうすると、なんの問題もなく凡人の真ん中あたりまでは行きます。

第4位:凡人


宮田俊哉(Kis-My-Ft2)[50点]

欠伸して 潤む瞳の 西瓜売り

宮田:八百屋さんとか西瓜を売ってるおっちゃんを主人公にしてみようかな、と。夕方ぐらいが一番眠くなる時間じゃないですか。西瓜売ってるおっちゃんが欠伸して涙目になっている、っていいなぁと思って書いてみたんですね。


夏井先生:“欠伸”という情報が入ってるわけですから“潤む”、例えば「欠伸に潤む」ってやったら欠伸によって潤むものはなんだ? あっ、涙が出て目が潤んでるのかもしれない。“潤む”とあれば“瞳”はいらない。ここを指摘してほしいところですね、順番としてはね。瞳はとにかくいらないということは間違いない。“欠伸にうるむ”で上等です。となると、“あくびにうるむ”でちょうど7音でしょ。そうしたら、真ん中にストンと入るじゃない。そしたら、5音も余るんですよ。5音を上手に使ってこそ”才能アリ”に行くか、行かないか、ここ大事なところ。
5音の使い方ですけども、たとえば、西瓜売ってるおじさん見てて『3回目よ、欠伸してるの』って、“三度目の”と入れてみます。

三度目の 欠伸にうるむ 西瓜売り

そうすると、時間経過が出ますね。
ちなみに、宮田さん、目の付け所は決して悪くないです。小さな言葉の処理にもうちょっとだけ神経を使うと、少しずつ確実にステップアップはしてると思いますよ。

第3位:凡人


コロッケ
[60点]

幼少の ふるさと匂う 西瓜かな

コロッケ:小さい頃に西瓜を初めてもらってお母さんとお姉ちゃんと一緒に食べた、その思い出が西瓜に1番あるんです。ですから、西瓜と言えば自分の小さい頃、そしてふるさとの匂いも一緒に感じるので。。。


夏井先生:もう“ふるさと”って言葉が入るととっても難しいんだけど、“ふるさと匂う 西瓜かな”、これとってもよいフレーズですよ。ところが、“ふるさと”“幼少”、“ふるさと”“お母さん”、ここが近い、言葉の距離がね。だから“幼少の”を外して、なにかを入れる、名人の言う通り! で、なにを入れたらいいの?
梅沢:そうですねぇ…、“西瓜かな”というところが好きなんですよ、だから甘い感じとか。。。
夏井先生:偉い! 甘い感じだけど「甘い」って書いたらベタになるから、いいとこまできてますよ、今日は。いい日本語1つ覚えましょう、“甘やか”という言葉があるの。甘い様子、甘い感じだなというのを“甘やか”という日本語があるの。

甘やかに ふるさと匂う 西瓜かな

こうすると、この人は故郷に対してとてもいい、甘い思い出を持っているに違いないと思って読みだす。そうすると、最後に“西瓜かな”と詠嘆が出てくる。あっ、ふるさとの思い出も、食べている西瓜も同じように甘やかなんだな、と思う。この言葉一つ知ってるだけで、これ”才能アリ”にシュッと行く。

第2位:才能アリ


大悟(千鳥)
[70点]

ばあちゃんの手を這うムカデ 青い空

大悟:この西瓜を見て、子どもの頃の夏を思い出したんです。ばあちゃんの手にパッとムカデが這うのを見て家族全員で『ムカデや、ばあちゃん!』って言ったのを、ばあちゃんはそんなことに微動だにせず『おぉ、夏来たのぉ』と言ったんですよ。その微動だにしないかんじの大きさ、それを夏の青い空に最後。。。


夏井先生:田舎のおばあちゃん家に行ったら、こういう光景あるかもしれないな、と思いますよね。しかも、ここカタカナの“ムカデ”って書いてありますね。普通俳句で生き物の季語とかはカタカナにしないでちゃんんと漢字、百の足と書いて「百足」ですね、そういうふうに漢字でしっかり書くのが俳句ではひとつの常識なんですが、この句の場合は、百足という字を知らなかったのかもしれませんが、でもそうなったときに、ムカデというカタカナは子どもたちがたどたどしく書いて、たどたどしく言って、しかも明るい笑いとか悲鳴とか、そうゆうのも見えてくるような。このカタカナの効果は案外あるんですよ。しかも褒めないといけないのは、“ムカデ”でカットが切れて視線はポーンと“青い空”に広がります。そうすると、この“ムカデ”は夏の季語ですから、青い空は「夏の青い空」、みんなの笑い声があって、『おばあちゃん大丈夫?』『夏が来たか』って言うんでしょ? 一句の中にパッキングされて、初めて作って、あなた、これお見事ですよ。
(直しは?)これはね、ヘタに直さない方がいい。このまんま味わいましょう。

第1位:凡人


柴田理恵
[75点]

もてなしの 豆腐ぶら下げ 風の盆

柴田:ちょうどこの季節、9月の1~3日まで、私、富山県八尾町の生まれで、「おわら風の盆」というお祭りが開かれるんですよ。だから、この季節というのはお客さんがいっぱい来て、色んなお料理の支度とかを商店街に沢山買いに行くんです。歳時記を見てたら“風の盆”ってあったんです。『え、これー』と思って。。。


夏井先生:いい句に出会えましたね、今日は。褒めるところがいっぱいあります。まず最初の“もてなし”という言葉がいいですね。“もてなしの”この一言の言葉の経済効率がいい。どういう状況か、一発でわかります。だれかをおもてなししようとしている状況、わくわくする気持ちもありますね。もてなしだから、すごい、とんでもないものでもてなすのかなと思ったら、“豆腐”がいいじゃないですか。家の近くの絶品の豆腐があるんだわ、そういうところもいいですし、“ぶら下げ”の気楽さ、何気ない感じ、人物も見えてきます。ここらへんで光景がずっと立ち上がるんですが、一番素晴らしいのは“風の盆”とここにくることです。この季語は、俳句やってる人には憧れのお祭りですからね、一回は観に行きたい憧れの季語ですよ。富山の水で作った、富山の大豆で作った、富山のあの豆腐でもてなすんだな、と光景も全部立ち上がってきます。私も、この豆腐で酒が飲みたい。
(直しは?)いるわけないじゃない!

名人6段


梅沢富美男[1ランク昇格]

いさばのかっちゃ スカーフはあけびの色

梅沢:“いさばのかっちゃ”というのは、青森県の市場で一生懸命売ってらっしゃるおばあちゃんたちを言うんです。前掛けしたり、スカーフしたりね、威勢のいい母ちゃんがいっぱいいるんです。そのときに西瓜も売ってたんです、ふと見たらスカーフがあけびの色だった。これ季語は“あけび”です。17音で収めました。名人の地位を賭けました!


夏井先生:この句のポイントは、“いさばのかっちゃ”、方言を使ったことが成功しているか、否か?
“いさば”ってこうゆうふうに詠んだときに『一体なんだろう?』って一瞬わからないわけですけども、“いさば”が魚市場であると。“かっちゃ”、あぁなるほど、どこか北の方の、呼び方の方言でないかと思った瞬間に、北の国の威勢のいいお母さんたちの姿が出てくる。方言を使うと一般的に意味が伝わりにくい、という損なところもありますけど、いったん意味がわかるとそれなりの味わいが醸し出されていく。かっちゃ達のスカーフがあけびの色であると気付く、と。で、まぁ、“あけび”が本物のあけびではなく、“あけびの色”という伝え方になってるんで、季語として機能するのかどうか、という意見は当然出てきますけれども、全体として無季の句だと主張しても十分観賞できるものになってると思います。
そして、“いさば”がすぐに伝わると一番、作品として読み手に親切なものになりますから、ちょっとだけ今回は奥の手を使いましょう。この“いさば”ってところに、魚市場でいいんですよね?、“魚市場”と書いて“いさば”とルビを打つんです。この方言を知らない人も一発で光景が立ち上がるでしょ。ちょっとこれ、奥の手なんですけど、方言をわかっていただくための一つのやり方で、テクニックとして覚えておいていただいてもいいかと思います。
で、一つだけ名人が言ったことに反対します。『全部足すと17音でしょ』って仰いましたが、18音じゃない?“いさばのかっちゃ(7)すかーふは(5)あけびのいろ(6)”、数ぐらいちゃんと数えようね。そうなったときにこれがいらないの、“あけびの色”の“の”を消せばいいの。

魚市場(いさば)のかっちゃ スカーフはあけび色

これで完成です。
梅沢:でもさ、1ランク上げてくれたなら、細かいことはナシにしたらどうなの?
夏井先生:降格しますか?
梅沢:ちょ、待ちなさいよ。
夏井先生:数も数えられない名人なんてあり得ませんよ。
梅沢:大きなお世話だ、こんちくしょー。この番組は、俺でもってるの・・・
浜田:やかましいわっ!
一同:(笑)

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