“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

第一回炎帝戦~上位編(6/29放送分)

time 2017/07/07

今回は、春の俳桜戦につづき、俳句査定の名人・特待生9人が集結し、現在のランクとは関係なくガチンコ勝負でタイトルを争う、夏の“炎帝戦”(上位編)です。


炎帝戦のテーマ『海』

下位編はこちら

第4位


横尾渉(Kis-My-Ft2)[名人初段]

籐椅子の 脚もとにある 水平線

横尾:この写真を見てるというより、僕がこの海をどこで見てるかというのを説明したくて。一歩引いたら籐椅子があったり、旅館に居るんですよ。で、籐椅子に座って眺めている、「綺麗だなぁ」って。パッと見ると足元に水平線があるように見えて、それが心地よく見える、という。。。


夏井先生:(点数つけるなら)70点じゃない、もっとずっと上だよ。これはね、あの写真から、自分が写真の中に入って、ものすごくリアルに想像しないと、“籐椅子”という季語に出会えないんです。季語というのは知識と知ってるだけではなくて、想像の中で季語と出会う体験をしないと、こうゆう瑞々しい句にはならない。惜しいところは、ほんの小さなことなんです。籐椅子と言ったときに、はなから寝そべったかんじを思い浮かべる人もいるけど、普通に座ってるということも考えられるでしょ? で、“あしもと”の字がこの字“脚”になってる、そうなると「籐椅子の脚? 椅子の脚?」って思われたらすごく損でしょ? 大変良い句なんですから、読む人が間違った読み方をしないように、丁寧に言葉を押さえておく、そこだけなんです。字余りになるけど、籐椅子の傍題に「籐寝椅子」ってのがあるの。寝るって字を入れるだけ。籐寝椅子っていったら、最初から寝そべってる形の椅子なんですね。そうすると、足が真っ直ぐむこうに向くでしょ。“脚”もこの字じゃなくてひらがなの方がいいですねぇ。

籐寝椅子の あしもとにある 水平線

そうすると、目の前に横軸として水平線がある、自分の体はまっすぐに縦に。自分の足がこうゆう方向で水平線とくっつく、ダブってる。ここまでやると、あなたが1位だったかもしれない。いや、本当に瑞々しい。この感覚は素晴らしい。もう腕を上げてきてる。この人は感覚が素晴らしいですからね。

第3位


東国原英夫
[名人2段]

夏の果(はて)ボサノバと 水平線と

東国原:夏の果て=夏の終わりなんですよ、今回具体的な場所とか、例えば「海の家」だとか「パラソル」だとか、そうゆうのは省きました。抽象的にここ、どこにいるのかな? 僕的には日本の海の家。そして水平線の向こうに、正反対の南米・ブラジルがある。海の家でボサノバが聞こえてるんです。水平線の果てにブラジルがある、果てのように。夏の果てと水平線の果てを呼応させた、響き合せた。


夏井先生:いまの話を聞いて非常に納得をしました。5・5・7という不協和音のような調べになってるわけですよね。この調べで読んだときに、全体が夏の終わりの気怠い調べを作っている。その気怠さが“ボサノバ”にも似合ってきている。まぁ、今日は特待生・名人のレベルだから、うっかりやってるとは思ってないですが、例えば5・7・5にしたかったら、“ボサノバと 水平線と 夏の果”とやってもできるわけでしょ? それから“ボサノバと 夏の果てなる水平線”とか、こうやって調べを調えることも十二分にできるんです。非常に言葉がシンプルなくですからね。それをあえてやってないというところは、“夏の果”“ボサノバ”の気怠さを調べで作ろうとした作者の意図かな、と。それをいま、見事に語られましたね。これはもう直す必要がない、意図通り成功した句。

第2位


NON STYLE石田
[特待生3級]

喧騒の 溽暑走り抜け 潮騒

石田:“溽暑”が季語なんですけど、まぁ、すごい暑い、夏のしんどい蒸し暑いさま。季語いろいろあるんですけど、やっぱ都会の喧騒に合いそうなのが、夏の熱だけじゃなくて都会の熱があるじゃないですか、それを“溽暑”としまして、今回音にポイントを合わせまして、“喧騒”から“潮騒”という、海の満ちたときの癒すような音に。実際に走り抜けてるわけじゃないんですけども、まぁ、そこに抜けていった感じをですね。。


夏井先生:素晴らしいですね。喧騒の溽暑、この“溽暑”っていうのはあんまりお目にかかからないかもしれませんが、蒸し暑ーい暑さのことですね。“喧騒”というのは人のざわめき、声、そういうものになりますね。どこで意味を切って読むか、という問題も出てくるんですが、“喧騒の溽暑”で一回カットが切れてもいいかもしれない。ここで8音。
“走り抜け潮騒”でここからスピード感にいく。9音使ってる。
5・7・5の調べを裏切っていますけど、疾走感を表現するために裏切っている。5・7・5を崩すというのは本当難しいんですけど、大体失敗するんですけど、これは見事いきました。音のことは御本人が言ってくださいましたが、もう一つ付け加えると、この“溽暑”は蒸し暑い、肌の感じ。そうすると最後に“潮騒”が出てくると、海の風、皮膚、それから嗅覚、潮の匂い、そうゆうものも一気に立ち上がるわけです。ですから、このさりげない対比っていうんでしょうかね、ちゃんと一句に反映されてくる。で、“走り抜け”の複合動詞、上手に使ってますね。
(直しは?)これは直さない。

優勝


FUJIWARA藤本
[名人3段]

セイウチの 麻酔の効き目 夏の空

フジモン:水族館のセイウチのことを詠んでて、セイウチが病気になって、手術のために麻酔を打つじゃないですか、麻酔を打って、セイウチが眠るまで待ってる獣医さんとか、水族館のスタッフさんを詠みました。夏の日の水族館の1日です。


夏井先生:(写真の)たった一本の水平線あるだけで、セイウチを持ってきましたよ。しかも麻酔ですよ。麻酔ってなったところで、仰るとおり、飼育員さんとか獣医さんとか人物も見えてきますね。で、ふつうなら「効いて」とか「効かず」とか言いたくなるんだけど、“効き目”ってやるから、ささやかな時間がここで表現できるんです。そのささやかな時間を、青い空を見上げながら、ちょっとみんなが心配気に見守っている、そんな光景が立ち上がってくるでしょ。セイウチだけで、私は生臭い獣の匂いもしましたし、そういう所がホントにうまいです。
やっぱり5・7・5の調べにキッチリ入ってくると、調べ自体が俳句らしくて気持ちがいいですね。この句を見つけたとき『ああ、いい炎帝戦になったな』と本当に思いました
(直しは?)全くないんですが、ただ飯田蛇笏賞はね、あと60年くらいかかる。
一同:(笑)

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