“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

雨の銀座(6/15放送分)

time 2017/06/16


◎今週の俳句テーマ『雨の銀座』

最下位:才能ナシ


佐野ひなこ
[35点]

通り雨 衝動買いの 傘増える

佐野:銀座に行ったときに寄るつもりもない、買うつもりもなかったんだけど、通り雨が降ってきて、偶然を装って新しくできたGINZA SIXとかにお買い物行っちゃおう、っていう。。。


夏井先生:まず問題点がいくつかあるので整理しますね。頭の“通り雨”というのは意味としてわかるんですが、季語として弱いですね。“衝動買い”の言葉の使い方なんですけど、急に通り雨、夕立ちにあって傘を買うのを衝動買いというのかどうか、根本的な問題ですよね。必要で買うわけですよね。衝動買いって、買おうと思ってなかったけどパッと見て衝動で買っちゃった、ってことですよね。日本語の使い方がそもそもどうか、という話がありますね。
そんなこんな変えてたら本人の(句の)元の姿が全然なくなってしまいますので、中七下五は読み手に任せるという手段を取りましょう。
そして、上五に季語を入れましょう。「傘が増えたなぁ」と思うのは通り雨の真ん中にいるときではなくて、一回晴れてお日様が出てきたときに感じたりするじゃないですか。それを表す素敵な季語があります。季語ひとつだけ覚えて帰ってください。“通り”を消して、“梅雨の蝶”という素敵な季語があります。梅雨の晴れ間にスッと出てくる蝶々のことです。

梅雨の蝶 衝動買いの 傘増える

こうすると、お家に帰って、『あっ、やんだわ』そんなかんじになりますねー。そうすると『あ、また増えてるよ、傘』ってそうゆうかんじね。“衝動買い”は間違ってるけど(笑)

第4位:凡人


山村紅葉[58点]

文字盤の 涙にゆがみ 梅雨の星

紅葉:写真の正面に写ってる和光で母は買い物したり、私と一緒に買い物するのをすごく喜んでたんですが、亡くなってしまって、もっと付き合ってあげたらよかったな、と涙が出て建物の文字盤がかすんだんだけど、キラッと星が光って和光が光って、母が『大丈夫、頑張ってね』と言ってるかんじを出してみました。。。


夏井先生:文字盤というのが何の文字盤かわかりにくいというのが問題。例えば、時計塔の文字盤なのか、それなら大きい時計ですね。あるいは、亡くなったお母さんが使ってた腕時計の文字盤なら小さな時計になりますね。せめて、何の時計の文字盤なのかがわかるようにするといい、というのが一つ。
もう一つ、真ん中の“涙にゆがみ”なんですが、ここがちょっと常套的な言い方でしょうかね。“涙に”で4音もとってしまう。“涙に”と書かなくても、これは涙しているのでは?と想像させることはできる。
まずは一つ目からいきますね。文字盤の正体を明らかにする。時計塔でいいですか?じゃ、それをきっちり書きましょう。“時計塔の文字盤”、ここで一回カットが切れます。町の光景とか、そこに大きな文字盤があるのがわかりますね。“涙に”を節約して、その分を頭に回しますから、ここからあとの処理は簡単。

時計塔の文字盤 梅雨の星ゆがむ

梅雨の星がまるでゆがんでいるかのようだ。それは涙ににじんでいるのかもしれない、そうゆうふうに読んでくれるわけです。
こうゆうふうにすると、二つのカットの切れ目が一緒に重なって人物も見えてくる、ということになります。
でも、これ4位たって58点ですから、今日はレベルが高いんです。

第3位:凡人


葉加瀬太郎
[60点]

メゾフォルテ 銀座の梅雨の ものがたり

葉加瀬:メゾフォルテというのはイタリア語ですけど、音楽用語で「やや強く」「ちょっと強く」、雨が少し強まってきて、傘をさしてると雨の音いいじゃない、パタパタって。その雨の音を聞きながら、人々がこれからどうなるのか、“銀座の梅雨のものがたり”というリズム感がすきだったんですけど。


夏井先生:メゾフォルテがなんなのかって話ですね。この語順だと“ものがたり”がメゾフォルテになってしまうわけですね。「梅雨がメゾフォルテ」と言いたい、といまお聞きしましたので、となれば語順をちょいと変えるだけで一発です。
“梅雨”から始めます。梅雨がメゾフォルテなんでしょ、ここから銀座に戻ってゆきます。“ものがたり”は漢字で書いた方が字面きれいかもしれませんね。

梅雨はメゾフォルテ 銀座の物語

メゾフォルテがちょど一句の真ん中あたりに入りますから、漢字で囲まれても全然OKです。
こうすると、作者の意図もきちんと入って、なおかつ、調べもちょっと面白い調べが生まれますね。こうゆうタイプの句はちゃんと直していくと、70点台になれるタイプですね。同じ凡人でも、凡人のままの凡人と才能アリにいける凡人、ふた通りあります。

第2位:凡人


博多大吉
[67点]

母つれて 歩く銀座に 走り梅雨

大吉:やっぱり銀座というのは、自分の親が上京して観光する「東京だよ、おっかさん」の世界がすごくあるので、九州からお母さんが来て一緒に銀座に行ったら、そんな銀座にもまた今年も梅雨が来た、みたいな。。。


夏井先生:一応作品としても成立しているし、どこを強く直さなくてはいけないというところはないんだけども、直したところで67点以上にはならないというタイプの句なんです。
大吉:もうストップ高?
夏井先生:はいw “銀座に”ここの“に”のところを取り上げて、細かなニュアンスを付けて自分の思いを的確に伝える、というのをやってみようと思うんですが。
ここの「に」という助詞は四択考えられる。まず、「に」は単純な場所ですね。それに対して例えば、“銀座や”の「や」は銀座を強調しますので、やっと銀座に連れてきてあげることができた、そんなニュアンスですね。「は」という言い方も可能です。“銀座は”になると、お母さん連れて色んなところを歩いたけれど、銀座は走り梅雨だった、銀座を取り上げて、走り梅雨初めて体験したとそうゆうニュアンス。
もう一つが「の」です。“銀座の走り梅雨”、これになると走り梅雨は全国どこでも遭うんだけど、銀座の走り梅雨ですよと限定していく、と四択あるんです。作者としてはどれが一番自分の気持ちに近いですか?
大吉:そう言われると、“や”ですね。
夏井先生:そうですね、私もお話を聞いてると、“や”でないかなと思いました。やっとお母さんを九州から連れてこられたという、強い思いが“や”1音で滲み出る。

母つれて 歩く銀座や 走り梅雨

でも、直したところで、67点です。

<第1位:才能アリ>

千原ジュニア
[70点]

五月雨を 知る 紙袋のビニール

ジュニア:銀座のデパートの中で買い物してたら窓が一切ないじゃないですか。買い物したら店員さんがビニールかけてくれて、「外、雨なんや」ってそこで気付くことがあったんで、それを。。。


夏井先生:パッと見ると、五七五のリズムを逸脱しているので、ちょっとギクシャクしていると思う型もいるかもしれませんが、全部数えると17音に入ってくるという、そういう技を使っているということですね。これも勉強したうちの一つ、使ったんじゃないかなと思いますね。
惜しいところも少しあります。助詞の使い方を丁寧に学ぶと(上位)定着していけるかもしれないなと思うんですが。。。まずはここを見てください、“紙袋のビニール”とありますね。紙袋の一部分にビニールとか、デザインとしてビニールが元々あるというかんじになりますね。
浜田:そうか。「に」や、「に」。
夏井先生:えらい! そのとおり、これは「に」です。“紙袋にビニール”が掛けられている。ここは大事なポイントです。
さらに、もう一つの助詞の効果を確認しましょう。“五月雨を知る”というのは、五月雨という現象がどういうものか知る、そんなニュアンス。でも、いまのお話だと、外が五月雨なんだな、ということを知るわけですよね。“五月雨と知る”に変りますね。
さらにもうひと押ししていいですか? 最初に目が行くのはやっぱり紙袋ですよね。そしたら、紙袋のアップから行った方が得ですよ。

紙袋にビニール 五月雨と 知る

こうすると、作者の視点がそのまま自分の思いに辿りつきますね。
でも、「に」が分かった人がいたのに驚きました。
浜田:いやいや(笑)たまたま。先生、特待生ってのはどうなんでしょう? ジュニアけっこういままで。。。
夏井先生:まだ信用ならん!
一同:(笑)

特待生4級


三遊亭円楽[1ランク昇格]

チーママの 裾はしょりたる 梅雨の夜

円楽:銀座じゃ金使ってるからねw 着ている着物、年格好からチーママなんですよ。店出ようとしてると雨、白い足が少し見えてる、いわゆる銀座らしさを出したわけです。


夏井先生:この句のポイントは、中七の“裾はしょりたる”という描写が生きているか、否か。
まず頭に“チーママ”で人物が出てまいりますね。この言葉が描く映像の力ってかなりありますよね、どうゆう年格好、どうゆうお着物、頭のかんじとか、なんのためにどうゆう仕事をしているか、全部入ってきますね。そして、“裾はしょりたる”という動作が映像にちゃんとなってます。ここ、へたくそな人は「先を急いで」とか、そうゆうことをやりたがるわけですよ。「先を急ぐ」だけだとちゃんと映像になってないですね、急いでそうな人がいるだけで終わるんです。映像化がなかなかできなくて、ちょっと悩んでた時期もありましたが、映像にするとはこういうことですので、ここから一気に行ってください。(直しは)いりません。

名人4段


FUJIWARA藤本
[現状維持]

梅雨闇の 利かぬ二頭の 警察犬

フジモン:天気悪い日の繁華街で事件が起きるんです。警察犬が二頭かり出されて、犯人の足取りを追おうとするんですけども、雨で濡れてて犯人の匂いが消えてしまっていると。自慢の鼻が利かなくて右往左往している二頭の警察犬、で事件も闇に葬られるというのか、『サスペンス俳句』です、これ。


夏井先生:この句の評価のポイントは、“利かぬ”という、ココになります。
とても大きい良い所は、特殊な場面、状況を17音の中に入れようという意思をもってやっている、名人になってもこうゆうことをやろうと意識してくださるようになっている。これは褒めます。警察犬というこの犬の種類と“梅雨闇”という季語を持ってくる、不穏・不安とかを表現しようとする、その意図はちゃんと伝わります。ところが、中七が緩いんですね。この“利かぬ”というのは説明なんです。“二頭”というのはですね、もうちょっと入れたら面白くなるかもしれないな、一頭より二頭かな、ぐらいの浅い考えで入れたに違いない。
フジモン:めっちゃ見抜かれたw 恥ずかしw
夏井先生:悪いけど、見ればわかります。“二頭”が最後に字が足りないから入れたに違いない。そうなったときに、不穏なかんじをどう出すか? しかも説明しないで映像にする、これが大事です。
どこからいくか、どこの言葉が一番不穏か、といえばここ、“警察犬”じゃないですか。これから始まります。警察犬ですから、何が一番ポイントかといえば“鼻”じゃないですか。“警察犬の 鼻先にある”と、字余りで頭持ってきますよ。このあと季語がゆっくり出てくるわけです。

警察犬の 鼻先にある 梅雨の闇

こうすると、最後に闇がどっしりと深く残ってくるでしょ。そうすると不安と不穏が一気に滲み出てくるわけです。しかも、その不安と不穏は警察犬の鼻先にある闇の向こうから滲んでくるわけです。こうやってくれれば、あなた、次が見えるんだろうけどねぇ。
フジモン:なんとかなりませんかねぇ。。?
夏井先生:こんな中七やってちゃダメだよ。

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