“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

新緑の公園(5/18放送分)

time 2017/05/18


◎今週の俳句テーマ『5月 新緑の公園』

最下位:才能ナシ


中山優馬[40点]

鯉のぼり 噴水浴びて 生き返る

中山:公園の噴水の奥に鯉のぼりがいて風に揺れてます。鯉のぼりが噴水の水で生き返ったように泳いでいる、という状況です。


夏井先生:“鯉のぼり”と“噴水”の季重なりというのはありますが、季重なりは最終的に強弱をつければどうにかなるんです。根本的に、発想が幼稚ですね。泳いでいるように見えるとか、“生き返る”ってのも、鯉のぼりが噴水浴びたら生き返りません、濡れるだけです。だから、“生き返る”って自分が一番カッコいいと思ってるところが最もつまらないものになっている。それが「才能ナシ」なのね。
ただ、この光景をなんとか映像にしたいというあなたの奮闘は、話を聞いてわかりました。やってみましょう。やることは2つです。
1.映像にする 2.“鯉のぼり”と“噴水”、季語に強弱をつける。
まずは、手前にある噴水からいきましょう。浴びるじゃなくて、浴びるだと鯉のぼりにくっつきすぎるから、“噴水のしぶき”ってやるだけで、噴水の光も一緒に出てきます。
ここで一つ言葉を入れますよ、「鯉のぼり」を生き生きと泳がせます。漢字一文字でいけます。

噴水のしぶきに 風の鯉幟 

“鯉のぼり”も漢字で書いた方がシャキッとするね。
そうすると、最後の“風の”という表現でブワーッと舞い始めますね。すると、尾っぽのあたりもしぶきに濡れるかもしれない、そうゆう映像になってくるということです。
勝手に生き返らせないでくださいねw

第4位:凡人


久松郁実
[50点]

夏の日に スーツ抱えて ひと休み

久松:公園の奥の方に座っているサラリーマンを思い浮かべて、営業とかで疲れちゃってひと休みしている様子を詠みました。


夏井先生:この句の中で一番の問題点は、下五の“ひと休み”。それが分からないから50点。“ひと休み”というのは一種の解説なんです、そうではなくて、その様子を映像として書けば、読んだ人も「ひと休みしてるんだな」とわかるわけですね。“ひと休み”は解説であって映像ではない。
いま、あなたがしゃべった中にいい言葉が2つもありましたよ。その価値が分からずに垂れ流しているという。。。まず一つめ、映像化するポイント、ここ(中七)からいきましょうか。スーツを大映しにするわけですね、ここから頭に戻ります。どこに座ってるって言った? ベンチですね。ベンチって書くだけで映像になる。
頭の五なら字余りしてもOK。上五を字余りにして人物がもっとわかるようにもできる。

営業スーツ 抱えて 夏の日のベンチ

そうすると、営業スーツらしい、いかにもな男が出てくる。最後“夏の日のベンチ”と名詞で止まると、映像が前にグッと出てくる。
あなた、発想は悪くない。4位で50点だもの。この発想をきちんと俳句にできる技術をちょっと入れたら、まだ上に行けますよ。

第3位:凡人


草野満代
[55点]

青楓 君何色に 染まりゆく

草野:GW明けぐらいに、ちょっと東京にも慣れてきて、公園に一人いて、まだ紅葉が青楓の時に、それを見ながら『秋には赤く染まっていくんだけども、自分は一体何色に染まってゆくんだろう』と期待と不安を一緒に。。。


夏井先生:“青楓”という見事な映像と“君”という人物がありますから、映像化というのがこの句の問題点ではないんです。この句の問題点ははっきりしてるんです。なぜ凡人たちはなんでもかんでも“染まりゆく”と言いたいんでしょ?「夕焼けに染まります」とかね、言うんですよ。で、申し訳ないけど、見てください中七、いい中七じゃないですか。“君何色に”って言ったら「染まるんだろうか」ってのを読み手は十分想像できるんです。たった17音しかないのに、わざわざ5音も使うなんて。5音っていうと俳句の1/3ですから、こうゆう使い方はもったいない。この5音を使ってさらなる映像化です。いいですか、“青楓”が主役となるべき季語なんですね。“青楓あかるし”、ここでカットが切れます。青楓の光のなんと明るく美しいことだろう。そして、一音“君は”と入れるだけでいい。

青楓 あかるし君は 何色に

そうすると、最後の“に”のあとに余韻・余情が広がりますね。しかも、青楓・あかるし、と“あ”の音を踏むことで、ひとつの調べを作り出すことができます。
この人のセンスもなかなかのものがあります。俳句のことちょっと勉強すると、”才能アリ”にいける素質はあると思う。

第2位:才能アリ


神保悟志[70点]

風わたる 緑の水辺に 子らの声

神保:5月の公園ということで、光と風と香りと音、それを表現したいな、ということでこうゆう句を。。。


夏井先生:この句の中のたった一つの問題点は(中七の)“に”。これ消すだけで、一句はパッと整いますね。

風わたる 緑の水辺 子らの声

まず、“風わたる”これで皮膚の感じ、風が皮膚に届く、髪が吹かれる、皮膚感が出てきます。“緑”というのが「新緑」という季語の傍題=周辺にある小さな季語になりますね。ここで色彩も、季節感も出ます。“水辺”で場所も出てくる。しかも、新緑の光を跳ね返すような生き生きとした光の水辺です。そして、最後に子どもたちの声が聴覚として湧き上がってくる。
本人の意図通りの言葉が置かれるべき位置にきちんと置かれている、大したものじゃございませんか。

第1位:才能アリ


銀シャリ・橋本
[72点]

青き日の 煌めく雫 夏薫る

橋本:部活の人とかがトレーニングしている感覚が浮かんできたんですね。煌めく雫は、夏の眩しい太陽に当って煌めいている瞬間と若さ、そして俺もそういう瞬間があったなと青春時代の煌めきにふけってるところをちょっと描いてみました。


夏井先生:この句はね、映像というよりは印象に傾いている感じはあるんですけども、非常に美しい言葉が選ばれていますし、作者が表現したかった詩的世界がちゃんと実現できている。どんな美しい女の人が作ったのかと思ってたので、ちょっとビックリしておりますがw
上から見ていくと、“青き日”というのは青葉のイメージも持ちつつ、青春の日々のイメージも持ちつつ、そして雫の光が出てくる。夏という季語が出てきて、ここら辺でそれぞれの言葉が「夏」という季節を表現するために存在していたことが分かる、と。
推敲の余地があるとしたら“薫る”という動詞。ただ、この手の句はここの動詞一つ変えると、全体を大きく変えないと成立しなくなるので、これで味わってあげるのがいいのではないかなと思います。
(手直しは?)ひとまずはナシです。ただ、本当に特待生になろうとしたら、こうゆうところに推敲の余地があることに気付くようになる、そこから特待生の道が開けてくると思いますが。これはこれで味わいません? こんな人が作者なんてw

名人5段


梅沢富美男[現状維持]

ハムサンド 芥子おおくて 夏は来ぬ

梅沢:“夏は来ぬ”が季語なの。ハムサンドを食べながら、芥子を『あ、辛いと思ったときに、もう夏が来るんだ』という感じを。。。


夏井先生:中七「おおくて」が機能しているか、否か?
説明さえしなければ、発想はいいでしょ? あの写真から一人だけじゃないですか、ハムサンドなんてものを。さすがは名人だなと本当に思いますよ。
その名人がなぜ、ここ“おおくて”を説明するのか。ここだけなんです。
なぜ説明かって言うと「ハムサンドに芥子が多かったです」と説明するわけですね。なんで多かったと気付くかというと、食べた時に芥子が鼻にツーンときて、体の感じによって多いと分かるわけです。わかったことを言うんじゃなくて、ツーンときた鼻の感覚を肉体としてちゃんと表現してくれたら、季語が俄然生きてくるんですよ。自分でしゃべってるんだから書けよってかんじですね。
“芥子のツンと”と書けばいい、そしたら生々しいリアルなかんじになるでしょ?
そうなってくると、勢いのあるハツラツとしたかんじの言葉になってくるので、“夏は来ぬ”と落ち着きすぎたかんじもあります。ここも、勢いのある言い方にちょっとだけ変えましょう。

ハムサンド 芥子のツンと 夏来る

“来(きた)る”とは、「来る」ことが「至った」、今まさに来たという感じの動詞になります。勢いが違うでしょ、ハムサンドのおいしさも変わるでしょ。
これ、やってこその名人なんです。

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