“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

茶畑(4/27放送分)

time 2017/04/27


◎今週の俳句テーマ『茶畑』

最下位:才能ナシ


宮澤エマ[35点]

春暑し 窓下げ踊る 髪と茶葉

宮澤:ドライブしてて、暖かくなってきたから、窓を下げると風で髪も揺れて踊るように見えたし、茶葉も踊ってるかんじにも見えた、っていう。。。


夏井先生:途中まではいいんですよ、まずどこまでがぎりぎりよいか、説明します。
“春暑し”、これ季語、ひと塊で季語ですね。春の終わりの頃にちょっと暑いなぁという時候の季語です。“踊る髪”という陳腐な擬人化ですけど、これもギリギリ許しましょう。問題なのはここ、“茶葉”の辞書的な意味をご一緒に確認しましょう。
茶葉というのは、飲料になるお茶の葉っぱを言うんです、製茶をし終わった葉っぱが茶葉なんです。あなたのお話を聞く限り、窓の向こうの茶畑が風に揺れる的なニュアンスでしたね? となると、これでは車の中でお茶を飲んでる? 茶葉だとねw
途中までいいかんじで来てて、この言葉を選んだ瞬間に、自分が描きたかった光景と描かれた光景との間に溝ができる。もったいなかったですね。
“春暑し”と浪費してると、茶畑の様子が描けませんから(ばっさり消す)。茶畑からはじめます、これが季語ですね。“茶畑の風よ”と詠嘆してみましょうか。
詠嘆してカットが切れますね。明確にしましょう、車の窓と書けば“車窓”という言葉になりますね。

茶畑の風よ 車窓に 踊る髪

最後に、あなたの髪に視線がグッと集まる、と。

第4位:凡人


上田竜也(KAT-TUN)[40点]

万緑に 心奪われ 速度落ち

渡辺えり:白い車に乗った人が主人公ってことでしょ? うっかり見とれちゃって速度が。。。
浜田:いや、上田にしゃべらせて。
上田:あの、その通りなんですけどw


夏井先生:“万緑”というのは、草木、山が緑で埋め尽くされる、エネルギッシュな夏の季語なんですね。「茶摘み」とか「茶畑」は晩春の季語になります。ですから、自分の描きたかった光景と、出来上がったものに落差がある、そういう句ですね。
ただね、目の付け所は悪くないんですよ。なにか美しい光景を見て、うっかりスピードが落ちる、というそれを書きたいというのは悪くない。ただただ、技術が追いついてない。
で、どっちから行くか、という問題もあるんですが、自分が車に乗ってるいるなら、速度から行く方が実感が出ると思いますよ。“速度落つ”と言い切って、ここで光景が出てくる。「美しき」と書いて「はしき」と読める。“美しき茶畑”、このあとに状況を言わないと。

速度落つ 美しき茶畑 過ぎるとき

どういう状況で、あなたが何を思ったかというのは、ちゃんと状況を書けば読み手は想像してくれます。
上田:感性的にはどうなんですか? 技術はその。。。運動してきたので、正直頭はそんなよくない。。。
夏井先生:こういう所が俳句の種になるということに気付いてると言うのはとても大きなこと。そういう意味では、将来性のある“凡人”という言い方はできると思います。
上田:これです、俺が目指したの、これなんですよ!
一同:(笑)

第3位:凡人


渡辺えり[50点]

天空の 茶畑の下 黄泉へのトンネル

渡辺:母親の顔があったのは置いておいて、死ぬまで間がないだろうという感覚がまずおいてあって、茶畑が天空にあるように見えたんですね。昔から高い所に茶畑があって、それが便利な世の中になって、その下にトンネルを造った。人工的なものを「生」と「死」という世界が近づいてくる。(片方が)黄泉の国へ、地獄に落ちるトンネル。こっちが生きるトンネル。色んな意識を入れてしまって、詰め込み過ぎましたね。


夏井先生:いろんな物を詰め込み過ぎた、物理的な字余りで、技術的な字余りとは受け取りにくい、というのが問題の1つめでしょうね。だた、この句に関しては、詩を作ろうという意思がはっきり読み取れる。そこはとてもいいと思います。ただ、やっぱり内容が多すぎます。とくに、“天空”と“黄泉”、これ2つ入れたいのは重々わかりますけども、17音しかないですからね、どちらか1つしか入らない。
渡辺:天国と地獄を入れるためにはどうしたらいいんですかね?
夏井先生:それはね、俳句ではない、別のところでやってください。
一同:(笑)
夏井先生:“茶畑”がいきいきとした季語ですから、そこまでの対比を作らなくても、十分詩になります。悪いが“天空”は諦めましょう。(ばっさり削除)
“茶畑の下”、ここでカットが切れますね。茶畑の下に何があるんだろう?と思った瞬間に、黄泉から始めないで実景の「トンネル」を映した方が得です。

茶畑の下 トンネルは 黄泉への穴

こうすると、最後の字余りの“穴”がポカーンっと暗い口を開けるわけですね。そうすると、この暗さと茶畑の緑との対比がちゃんと生まれます。
渡辺:先生ね、(写真に)鉄塔が建ってるじゃないですか、鉄の杭を打つみたいな。そうゆう未来、現代の皮肉みたいなところをもっと入れたいんですけどね。
夏井先生:なるほど、それはあなたの舞台でやってください。
一同:(笑)

第2位:凡人


モト冬樹
[52点]

茶摘みの葉 口に含みて 味苦し

モト:旅でロケ行ったときに、スタッフが「摘んだ葉食ってみろ」って、めっちゃ不味かったんですよ。そしたら、茶を摘んでる人が「そんなの普通食わねえよ」って言われて。。。


フジモン:“含みて”で口にしてると分かるから“口に”がもったいない。
夏井先生:えらい、えらい。そこがわかればもう一つ要らない言葉もわかりますよね?
“含みて”と言えば口はいらない、“苦し”と言えば味もいらない。
この句はこれといった創意工夫があるわけではないのですが、自分の体験を素直に書いているところに、誠意というか、好感は持てると思います。ただ、無駄遣いがある。
パッと読んだときに、茶摘みの作業をしていて何気なく口に含んだ、という場面ではないかな、と思いましたので、それまでに作業をしていたと分かるように書くと、さらに臨場感が出てまいります。
口ではなく、手からいきましょう。これで動きが出ますね。

手をとめて 含めば苦し 茶摘みの葉

第1位:才能アリ


尾木直樹
[70点]

トンネルの 上も日本や 茶摘み唄

尾木:(写真の)茶畑を見たときに、「日本」という大きな歴史と伝統と広がりを感じた、それをそのままスッと詠っただけ。


夏井先生:あの写真からの発想として本当にユニーク。でも、ユニークだけで終わる句だってあるわけですよ。これ読んだときに、ちゃんとあの写真に近い映像も読み手の脳の中に再生してくれるわけです。トンネルが出てくる、トンネルの上に何があるんだろう?と思うと、“日本や”って強調・詠嘆するわけですね。トンネルの上も日本や、って一体どういう意味だろう?と思った瞬間、この季語“茶摘み唄”が出てくる訳です。
この季語の選び方も上手いんですよ。「茶畑」や「茶摘み」で終わったら面白くないんですが、“茶摘み唄”とちゃんと音が聞こえてくるんですね。そうすると、中七まででわからなかったけれど、上から茶摘み唄が聞こえてくるということは、その上に茶畑があるに違いない、ちゃんと読み手の脳の中に再生させる。見事だと思いますね。
(直しは?)このままでOKです。

名人2段


FUJIWARA藤本
[現状維持]

茶畑や 朝のサリーの 色ぬくし

フジモン:これ、日本の茶畑じゃないんですよ。サリーって出てくるでしょ、インドの紅茶の茶畑の俳句。僕の得意とする、グーグルアース俳句です、これ。
一同:(笑)


夏井先生:この句のポイントは、兼題の写真の光景から、「インドの茶畑」の発想が活かされているか、否か。
発想はさすが名人でしたね。写真から俳句を作るときに、写真は発想のジャンピングボードですから、いろんな方向に飛ばしていただいて結構なんですね。あの光景からインドに行った、しかもインドと書かないで“朝のサリー”って、この言い方でちゃんと言えてるってのもなかなかよいですよ。
フジモン:(現状維持評価は)何がだめなんですか?
夏井先生:決断が足りない。まず、“茶畑や”で季語、これを強調・詠嘆されたら日本の茶畑の光景を頭に思い浮かべるでしょう。その後に“朝のサリーの”と来ると職業訓練留学生が静岡の茶畑で摘んでる?ってなるでしょう。あなたの発想の飛ばし方素晴らしいんだから、腹くくりましょう。
インドの茶畑と思った瞬間に、もうこの“茶畑”って季語は使えない、インドですもん。
季語を手放すしかない。何やってるんですか、このサリーの人?
フジモン:茶摘みです、紅茶の。
夏井先生:そうでしょ。紅茶って言うとインドに近づく。しかも労働を入れます、“紅茶摘む”。こうすると季語ではなくなりますけど、“紅茶摘む”ってどこだろう? “朝のサリーの”、あっここはインドなんだってわかるわけですね。
“色ぬくし”も日本の気分を引きずってますね。完全に色だけにいきましょう。

紅茶摘む 朝のサリーの 鮮やかに

こうすると“朝の”“鮮やか”と「あ」の音も入りますね。
フジモン:季語を外すなんてできませんよ、先生。
夏井先生:無季の俳句っていうのも現実にはありうるわけですから、自分のやりたいことを貫いてないってところが、二段止まりの一番の理由。

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