“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

第2回「2択で実力査定SP」(4/20放送分)

time 2017/04/25

今回のルール

FUJIWARA藤本[名人2段]とフルーツポンチ村上[特待生1級]のサシ勝負。
芸能人の作品2つの内、評価の高かった方を当てることで、実力査定を行います。

第1問:キスマイ対決

A.キスマイ横尾[名人初段]

≪真夏のひまわり畑で一句≫
夏帽子 夜行列車の 網棚に 

B.キスマイ千賀[特待生3級]

≪雪景色と鉄道で一句≫
海鳴りも 凍る夕暮れ 雪列車 


<才能アリ>A ⇒フジモンの勝ち☆
夏井先生:写真からどこまで発想を飛ばしていくか、ちゃんと出来ています。ひまわりが印象的だから、みんなが「ひまわり、ひまわり」と言うところ、“夏帽子”と方向を変えてくるところ、目の付け所が大変良いですね。季語の“夏帽子”が明るくて活動的なイメージを持ってますから、夏帽子からの“夜行列車”への場面展開が非常に鮮やかなんですね。さらに、“夜行列車”という長いイメージだけでなく“網棚に”と場所を描写して、ここからまた“夏帽子”という存在に戻ってくる。たいしたもんですよ、直すところはどこにもない。

<凡人>B
夏井先生:惜しいのは“凍る”という季語で、“雪”も季語。こうゆうときは、どっちか一つ捨てればいいわけですから、簡単ですね。どっちも入れると損をしてしまう。俳句はたった17音しかないですから、言わなくていいものは言わないで、想像させる。
“海鳴りも”は気持ちはわかるが“の”と言った方が姿がきれいになりますね。“凍る”の間に“れ”を入れます。

海鳴りの 凍れる夕暮れの列車

こうすると、海鳴りが凍る、夕暮れでさらに温度が下がってくる、列車の向こうには雪を連れてきそうな凍った雲も押し寄せてくるかもしれない。上手に映像を描いて、読者の想像力を味方につける、これができたら才能アリ、だよ。

第2問:ベストセラー作家対決

A.内田春菊

≪秋の日光東照宮で一句≫
紅葉はあって 抱擁はない 一人旅 

B.ピース又吉

≪6月尾瀬の水芭蕉で一句≫
号令も 風となりけり 水芭蕉 


<才能アリ>B ⇒フジモンの勝ち☆
夏井先生:“号令”という言葉によって、誰かが誰かを集めるために号令をかけているんじゃないかと、それこそ遠足だとか、ハイキング行った人がそろそろ帰る時間だから「集まってね」ということかもしれない。もう一つ、詩的な読みとして、風が水芭蕉に向かって「咲きなさい」「そよぎなさい」と号令をかけてるのかもしれない、なんて読み方もうらはらに出てくるかもしれない。それに“号令”って言葉だけで、音の情報がスッと入り込むわけですね、その音の情報が風の中に溶けていく、この辺が地味なんですけど、なかなか味のある作りになってますね。

<凡人>A
夏井先生:ダジャレが言えるっていうのは、才能ナシではないわけですよね。言葉の響きとか、種類を知ってないとできないわけですから。
これは、ダジャレを活かさないとしょうがないから、活かそうと相当脳みそを使ったんですが、使った割にあまり変わらない、ということに愕然としました。
例えばね、“抱擁なき”として、“一人の旅の”で頭に戻る。“紅葉かな”とすると「もみじ」読みになっちゃうので、“紅葉よ”とするしかないですね。

抱擁なき 一人の旅の 紅葉よ

ダジャレを活かして、俳句的にしたって、所詮ここまでだった、という句ですw

第3問:兄弟対決

A.大和田獏

≪富山のチューリップ畑で一句≫
傷心の 旅の車窓に チューリップ 

B.大和田伸也

≪秋のサンマで一句≫
秋風に 七輪の熱 幸はこび 


<才能アリ>A ⇒村上の勝ち☆
夏井先生:“傷心の旅の車窓”って響きがいいですね。この“傷心”という言葉のおかげで、この句の登場人物の表情も一緒に見えてきます。悩ましいところが1音だけあります。“車窓に”の“に”というのは散文的になりがちな、ということでなかなか使い方難しいんです。どうしてかというと、「車窓にチューリップが見えました」とか、「あります」とか。それの下を切って(数を)整えた、みたいになります。なので、“に”っていうのは散文臭がするということになります。
では、変えるのは2択あります。一つは“の”です。これだと、“傷心の旅”があって、“車窓”があって、順々に“の”によって焦点が絞られていって、最後の“チューリップ”という季語に全部が集まってくる。1カットの光景になります。
もう一つの選択肢は“や”できることです。“や”はすぐ上の言葉を強調したり詠嘆したりしますから、この車窓の光景を印象付けて、そしてチューリップだけの光景にパッと切り替える。
どっちがいいじゃなくて、作者自身がどっちの光景を描きたかったか、あなた自身が選ぶべき問題。
獏:いまだと“や”です。

傷心の 旅の車窓や チューリップ

夏井先生:2カットの見事な俳句になりました。

<凡人>B
夏井先生:一番最初に“秋風”という季語がまず出てきますよね。秋風という季語は、多少もの寂しいというイメージが必ずありますから、ここに“幸”という言葉が出てきて『え、幸せだったの?』って、最後の下五のところで、あなたの幸せってなんなの?みたいなw
(話を)聞いてみると、独り身なんでしょ?寂しいんでしょ?
“ひとり身”ですよって最初にやっておいて、“幸あり”で境遇を先に言っちゃう。で、頭に飛んで、

ひとり身に幸あり 秋風の七輪

熱があるとか、ないとか、言わなくても、このひとり身の人は七輪出してきてなんか焼きながらささやかな幸を味わってる、秋の日の夕暮のひととき、って光景がこれによってじわっとにじみ出てきますね。

第4問:「渡鬼」姉妹対決

A.泉ピン子

≪春の京都・清水寺で一句≫
満開の 花見て食べる さくら餅 

B.中田喜子[特待生5級]

≪雪の列車で一句≫
発車ベル 待たずやうさぎ 雪の野へ 


<才能アリ>B ⇒フジモンの勝ち☆
夏井先生:“雪の野”、これひと塊りで地理の季語、“うさぎ”という動物の季語、2つ入っておりますが、この句の場合は“雪の野”を主役に立てるととっても素敵な光景になる。
“待たずや”という言葉は、うさぎに対しての擬人化になります。そうすることで、“雪の野”ではなく“うさぎ”の方に軸足が傾いてしまう、うさぎの方が主役になるかのような。これはね、本当にもったいない。うさぎは発車ベルにどうしたんでしたっけ?
中田:驚く。

発車ベルに 驚くうさぎ 雪の野へ

夏井先生:これだけでいい。“発車ベルに驚く”、なにが驚くのか? うさぎ! さっきまでホームの近くでえさをあさってたんじゃないか、ちゃんと伝わります。で、鳴った瞬間に、瞬く間に雪の野へ、最後の“へ”がいいじゃないですかね。

<凡人>A
夏井先生:問題点が2つあります。まず1つは、季語が2つ入ってることです。季語が2つ入っても上手い人が作るとそれなりの句になるんですが、上手くない人が作るとただの失敗作になります。“花”と“さくら餅”が季語ですね。
次の問題点が、要らない動詞も2つあります。“花”という季語があれば“見て”るんです、“さくら餅”という季語があれば“食べる”のが前提なんです。真ん中の句すべて要らない、という。。。
それで、どう展開するか、なんですが、清水寺がありましたから、仮に“満開の寺”ってやったら、『なにが満開の寺かな?』って思うじゃないですか。その寺には、名物のさくら餅があるなら、

満開の寺の名代のさくら餅

こうすれば、寺という情報とか、さくら餅が名物(=名代)だってわかりますよね。
(最初の句だと)スカスカ真ん中(笑)

第5問:名人対決

A.梅沢富美男[名人5段] 

≪雪景色と鉄道で一句≫
車窓には じょんがらのごと 雪しまく 

B.東国原英夫[名人初段]

≪コスモス畑で一句≫
大拍手 空舞う コスモスのブーケ 

<直しナシ>B ⇒村上の勝ち☆
夏井先生:子どもたちのコスモス畑の写真から、とにかくジャンピングしてブーケトスまでいく発想を褒めるしかないですね。
今回の問題の“舞う”というこれ、今までこの方は擬人化でコケ続けて来たというところがあるんですけども、この“舞う”はいい位置に入ったな、と思います。頭から“大拍手 空舞う”っていうと、拍手が空に音として上がっていくのかな、と思うわけですね。そのときに、音が空を舞うなんて陳腐かなと一瞬思うわけです、ところが、舞うのは“コスモスのブーケ”なんですよ、と意味が変化していく。その変化も句の中では悪くない味わい。コスモスのブーケの明るさ、結婚式のブーケじゃないかと思わせる華やかさが舞うという動詞とマッチする。

<直しアリ>A
夏井先生:作品としてはとてもよく工夫されているんですよ。“雪しまく”という季語を知ってるだけでもえらいな、と思いました。“しまく”というのがどういうことかと言うと、し=風の古語なんです、まくは巻くですね。雪・風が巻く=雪しまく、なんですね。ですから、すごく激しい吹雪がガーッとある。そして、本当に誉めないといけないのはここの比喩ですね。“じょんがら”は聴覚の表現ですね、それを映像の季語の比喩に使う。これで、一気に音と映像がガーッと立ち上がってくる。
でもね、最後の詰めが甘いですね。比喩ってゆうのは意外性がとっても大事なんです。この句の場合、まずじょんがらの音から始まるのが一番効果的。あの激しいバチの音、三味線の音、ガーって始まって、三味線弾いてる場面かなと思うと、“ごと”と比喩にくると。
これはね、こうゆう語順でやらないといけない句ですね。

じょんがらのごと 雪しまく 車窓かな

じょんがらの音、それが比喩で“雪しまく”激しい吹雪だとわかる。そして、最後にじつは車窓なんだ、とわかる。最後に車窓の光景が出てくると、映像として一番効果的。なにより比喩に対して効果的。
最後の“かな”っていう詠嘆は、作者が車窓から見ている光景の映像として残る。

ここまで俳句査定5問でフジモン3勝:村上2勝という結果でしたが、このあとの生け花査定2問が1勝1敗で、

 フジモン4勝:村上3勝

フジモン勝利となりました♪

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