“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

二宮金次郎と桜(3/23放送分)

time 2017/03/31


◎今週の俳句テーマ『二宮金次郎と桜』

最下位:才能ナシ


千原ジュニア
[30点]

銅像に 野球帽主 春夢かな

ジュニア:金次郎像に自分の野球帽を掛けて、放課後遊んで、そういうやつ、まぁ漏れなく帽子忘れて家帰りよるんですわ。で、次の日まで金次郎が帽子かぶってたなぁ、という。。。ちっちゃいときの思い出、なんとか(表現してみた)。


夏井先生:発想はね、一番面白いですよ、今日の句の中で。なんでこの男は失敗からモノを学ばないかな。中8は(ダメだと)学んだが、“野球帽主”という強引な日本語がよいかどうかまで学んでないってことでしょ? 頭の中にあるものは素晴らしいのに、文字にした瞬間に手元から腐ってゆく。。。こんだけもったいないと腹が立つ。
まず、野球帽からいきましょう。「かぶされ」って素直に書けばいいんですよ。“春夢”とかこんなとこで夢をみるな! 光景にしましょう、子どもたちが帰ったところを季語“春夕焼(はるゆやけ)”で表現する。

野球帽 かぶされ 春夕焼の銅像

そうしたら、最後に春の夕焼けをバックにした銅像の姿が残る。その銅像には何が載っている? そう、野球帽が載っかってるんですよ。
あなた、こうやったら断トツの一位ですよ。ホント宝の持ち腐れ。

第4位:才能ナシ


筧美和子
[37点]

咲きみちて 出逢いと別れ 見届ける

筧:金次郎の気持ちになりきって、毎年毎年桜が満開に咲くと、生徒たちの出会いと別れを見届けていて、金次郎さんが応援しているよ、という気持ちを表しました。


夏井先生:一見、ちょっとカッコいいでしょ? でも、致命的なことをひとつ申し上げると、季語がないんです。たとえば“花みちて”なら、花は桜のことですから季語が入るんですが、“咲きみちて”だと明確な季語にならない。
さらに困ってるのは。。。金次郎像とは書いてないので、(写真を見てない人は)何が誰を見届けるのか? がわからないということになるんですね。
この句を直すとなったときに難しいのは、金次郎像という情報と、季語を入れなくちゃならない。本当なら全部消したいんですが、真ん中の“出逢いと別れ”だけ残してバッサリ。で、これだけの大きな情報を入れるとしたら、上五を大きく字余りにするしか手はありません。その上で、並列で必要な情報を並べる。

出逢いと別れと 桜と金次郎像と

こうすると大きな上五の字余りのあとに、七五でちょっと調べを取り戻す、そういうテクニックになります。
もう、こんなことやらされると、こうゆう奥の手を使うしかないんだよねぇorz

第3位:凡人


篠井英介[60点]

「あれはだれ」 花にうつむく 金次郎

篠井:たとえば入学式、子どもを連れたお母さん、その子どもが「あれは誰?」って言った、という気持ちなんですけど。。。子どもが言ったのを入れたかったんですけど、入りきらなかった。


夏井先生:「あれはだれ」の言葉と、最終的に二宮金次郎と分かれば、子どものセリフだなと普通の人は想像します。ゆえに、そこは気にしなくていい。
本当に気にしないといけないのは、“うつむく”という単語。金次郎像、あれはうつむいているのではなく、本を読んでるわけですね。例えば、「あれは誰? 知らない子」「ああ、あれは転校生の金次郎くんだよ」と読まれる可能性も否定できないわけですよ。ですから、銅像であるとわかることが大事。銅像だと分からせる方法は2通りありますが、そのうちの1パターンは、フルネームを入れること。

「あれはだれ」 花に 二宮金次郎

たったこれだけのことです。
3位といっても、60点ありますから、かなりいいレベルです。こうゆう発想を一句にしようというところに、ささやかなセンスはあると思います。

第2位:凡人


西岡徳馬[62点]

金次郎 たまに休めと 花便り

西岡:一生懸命勉強している金次郎さんに、「たまには休んでいいんだよ」と桜の花が応援していると話しかけた、という。。。


夏井先生:(金次郎=二宮金次郎とは限らないという)2位と3位は同じ問題を抱えていたんですね。“花便り”という季語は、桜の花が咲きましたよ、というお知らせが届くということなんですね。となったら、働き者の金次郎に故郷の母から「花が咲いたよ。たまには休みをとって故郷の花見に帰らないかい?」、みたいな読み方をされるとも限らない。そういう読み方をしてもいいかな、と思ってるんですけども、やはり銅像だということなので、銅像と書いた方がいいと思いますし、花便りがくるというよりは、桜自身が言っているという表現にした方が、本人の言いたいことがストレートに伝わる。
で、銅像だとわかるための2つめのテクニックは、“~像”と書くだけ。

金次郎像に 「休め」と 花笑う

こんな風にすると、そこの周りに咲いてる花たちがニコニコと「たまには休んだらいかが?」って言ってる、とちょっとほのぼのとした可笑しみが生まれてくるんじゃないかなぁと思います。

第1位:才能アリ


和央ようか
[70点]

学び舎の 窓から春が ひとかけら

和央:学生時代に、教室の中に風で桜の花びらが落ちてきたんですよ。それを教科書に挟んで遊んでたんで、それを詠んでみようかな、と。


夏井先生:とても穏やかな味わいでできてる一句だなぁ、と。“学び舎”と校舎が出てきて“窓”がクローズアップされ、そこから“春”という季語がふっと出てくるわけですけど、花びらとか桜とか言わないで、春のひとかけらがありますよという言い方をして詩を醸し出そうとしている。作者の意図がある程度形になっていると思います。
“ひとかけら”は桜のイメージとのことなので、桜っぽいニュアンスを入れることも可能です。特に“かけら”というのが硬いかな、桜をイメージするには。そこを変えつつ、語順もちょっと弄ってみます。

学び舎の 窓に一片(ひとひら) ひかる春

こうすると、春の鮮度も上がるし、“一片ひかる春”ってなんだろう? あっ、桜の花びらの一片かもしれない、とそうゆう想像が読み手の中に広がってきます。

特待生4級


千賀健永(Kis-My-Ft2)[1ランク昇格]

花満ちて 花の裏から 子等の声

千賀:下には子どもがたくさんいるんですけど、金次郎が花と同じ目線で見ると、花の裏から子どもの声が聞こえるよ、と目線をひとつ入れてみたんです。


夏井先生:季語の「花」を2回使う工夫が活きているのか、否か?
“花満ちて”のあとに“花の裏から”ときます。ここまで読んだときに花の奥行きのある美しい、怪しい世界が展開するのかな、と思うわけですね。そうすると、その思いを裏切るように、この裏から子どもたちの声が明るく弾けるように飛び出してくる。最後に聴覚が出る切り替えしもうまい。
“満”と“裏”のイメージの対比もちゃんと考えて使ってるはずです。
ひとつだけ、ささやかなアドバイスをすると、“子等”の画数が多い。“花満ち”“花の裏”“子の声”の字の印象を残した方が絶対得だから、“等”を柔らかく“ら”にした方が字面が綺麗かもしれない。

花満ちて 花の裏から 子らの声

いままでのあなたの作品のレベルからすると、格段に上がりました。よく勉強している、すばらしい。

名人初段


東国原英夫
[現状維持]

花散るや 尊徳像の 撤去跡

東国原:いま、尊徳像が歩きスマホだとか、努力だとかが時代に合わない、ながらだと危険だと言って、撤去する方向なんです。寂しいな、侘しいな、と思って。撤去された盛り土のあとに花が散っていく、という、その映像を詠んだ。。。名句です。


夏井先生:「花散るや」から始まる語順が活きているのか、否か?
思いが先走っている。込めた思いが、「花散るや」で始まると、よい光景を描いているのに、”もののあはれ”を押しつけられる気持ちになるんです、最後まで読んだときに。
むしろ、最後に本人が語られた映像を描いたらよいと思う。語順ですよ。

尊徳像 撤去の跡へ 散るさくら

こうすると、最後に桜の映像が残る。これなら文句なくワンランクアップですよ。もったいない。

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