“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

冬の東京湾(11/23放送分)

time 2017/11/23


◎今週の俳句テーマ『冬の東京湾』

最下位:才能ナシ


アンミカ
[37点]

オリオンを 仰ぐ2人の 縁(えにし)かな

アン:私、東京湾沿いに住んでて、個人情報ですけど、家から東京湾が見えるんですよ。ちょうど冬の湾のときに、冬茜からちょっとしたらね、オリオン座が見えるんです。旦那さんといつもこの季節、家から星見て、頬寄せながら、オリオン座がもうすぐ見えるよ、と寒い冬にベランダで頬寄せあって。。。なに笑ってるんですか!?
一同:(笑)


夏井先生:一見カッコよく見えますけど、じつは不要なところがたくさんありますねぇ。“オリオン”って出てきてあとで“2人”とあれば“仰ぐ”はほぼいらない。あっ、これよ、なんでここで数字なの、漢数字でいいじゃない?“二人”ここがまずあれですね。下五の“縁かな”というのも言いたい気持ちはわかるんですよ、わかるんですけど、“縁かな”って言って気持ちがいいのはあなただけです。他の人には心に響いてきません。むしろ、それよりも、どうゆうところで見てるのかとか、映像をきちんと作って欲しいんですが、17音使ってあなたがうっとりと述べていることはもっと短く言えます。“オリオンの二人”って言ったら終わります。“オリオンの二人”しか言ってないのに、仰ぐとか縁とかつけて俳句ぽくしてるというのが才能ナシなんです。もちろん“仰ぐ”も“縁”も捨てたいところですが、全部捨ててしまうと、作者がいなくなってしまいますから、添削というのは極力使える言葉は使って、というのが鉄則なので、歯を食いしばって“仰ぐ”を残します。“仰ぐ二人の”じゃなくて、“二人や”でカットを切りましょう。ここで二人の姿がクローズアップするんです。頬を寄せたかったら勝手に寄せてください。そして最後のここですね、せめて映像を入れましょうよ、どうゆうところで見てるのか。個人情報だけど、東京湾が見えるんでしょ?“海”という情報を入れましょうよ。“海”とここに書くだけで、2人は海の近くにいるんだな、さらに嗅覚、“海匂う”なんてどうですか?

オリオンを 仰ぐ二人や 海匂う

こうすると素敵な句になるんじゃないですか?

第4位:凡人


丘みつ子[45点]

海中は 夜の賑わい 陸師走す

丘:日中も海の中は忙しいと思うんですけど、夜活躍する生き物たちは食うか、食われるか、とかね、すごく蠢いていると思うんですよ。で、陸も師走ですごく忙しくなるよ、というかんじを。。。


夏井先生:あの写真から、海の中に発想を持って行って、しかも夜は夜で海底は賑わっているに違いない、こうゆう風に考えるのは素晴らしいと思います。本当にここは褒めたいです、強く。で、もったいないのは、この下五ですよ、ここに理屈が入ってくるんです。海の中は夜も賑わってにぎやかな状況なんだけど、陸地は師走でございますよーと、理屈をしゃべっちゃっている。さらに(最後の)“す”というのが微妙に、なぜここに“す”があるのかと。不思議もありますね。この下五のところで映像化ができれば、これはもうボーンと(上へ)行くんですよ。なんてもったいない、この下五はドブに捨てたような下五。もったいない。
やらないといけないのは2つです。簡単な方からやりましょう。“す”を取れよ。陸は師走ですよって言うから説明になっているけど、一字変えるだけで映像にすることができる。はい、やってみます、空間も広がりますよ。“陸”ではなくて上に目を向ける。
浜田:“星”か。
夏井先生:そう。誰だ、今言ったの?

海中は 夜の賑わい 星師走

こうすると綺麗ですよ、“賑わい”で(カットが)切れます。“星”と言った瞬間に、海中から空に向かって、縦の構造で映像がビューンと広がるわけです。星は師走の冷たい煌めきを満たしていますよ、空を。そして、海の中では生き物たちがキラキラと活動してますよ、と。ここだけ変えてくれれば、これがもう一つの「才能アリ」にいったはずです。

第3位:凡人


阿部桃子
[48点]

冬海に つどう動物 孤独かな

阿部:後ろにクレーンがあって、それが動物のように見えて、その動物がたくさん集まっているように見えるんですけど、クレーンなので鉄で動けない、表現ができないな、と。世の中の理不尽さ、冷酷さだったりを表現してみました。


夏井先生:ちょっとわかりにくいという理由がどこにあるかというと、“動物”っていうのが曖昧なんですね、全体として。動物がなにか例えてるのか、動物も色んな動物がありますよね、そのあたり曖昧になってるのが大変もったいない。でも意図として、集うことによって生じる孤独ってありますよね、人がいっぱいいるんだけど、私だけが孤独って。そうゆうことを表現する、そしてそこに冬の海、”ふゆうみ”でもいいし、”とうかい”と読んだら、冷たい響きに更になるでしょうかね。こうゆう季語に感情を託そうとしている、センスも悪くないんですよ。ただ、“動物”がもったいない、具体的になにか、姿を言った方がいいんですよ。いかようにも出来ますよ。例えば鳥にしてみましょう。“冬海につどう”でもいいんですが、鳥 2音しかないので、“つどえる”と、

冬海に つどえる鳥の 孤独かな

その鳥の姿がシルエットとしても、それから鳥の生身としてもちゃんと見えてきますね。こうゆうところの詰め方を覚えると、この人も“才能アリ”を狙えるだけの可能性はあると思います。

第2位:才能アリ


原田龍二[70点]

足元に 波からみつく 冬茜

原田:(なぜかコメントがカット。なにを言った? ルパン・ネタ?)


夏井先生:下五の“冬茜”というのが季語になりますね。冬の夕焼けのことになります。冬の夕焼けは時間としてそんなに長くないんですが、非常に強烈な美しい赤のイメージがありますね。で、この句はね、語順の視線の誘導が上手いということになります。“足元”砂浜でも防波堤でもいいです、つぎに“波”が出てくる。そのあとのここの表現ですね、“からみつく”という言い方をすると、作者の心になにか寂しいものとか、そうゆう感情があって、波が自分の心にひっかかってくる、からみついてくる、そんなニュアンスに読むことができるんです。最後に“冬茜”が出てくるので、冬茜が波にからみつくかのように寄せてきている、光が照っていると読めますから、ひとまず言いたかったことをきちんと17音の中に入れて“冬茜”という季語を、主役に立てている、これはこれでちゃんと出来ている。
(直しは?)こうゆうのはね、“からみつく”の好き嫌いはありますよ、でも、ここが本人の一番言いたいところですから、これはこれで尊重しましょう。

(つづきは後日掲載。。。)

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