“プレバト俳句”再視記(さいじき)

バラエティ番組「プレバト」の人気コーナー『俳句ランキング』を振り返り。芸能人たちの才能と、毒舌・夏井いつき先生の評価や、いかに!?

第一回金秋戦~下位編(10/12放送分)

time 2017/10/15

今回は、季節に一度の、名人・特待生が集結するタイトル戦、秋の“第一回金秋戦”です。


金秋戦のテーマ『紅葉』

最下位


ミッツ・マングローブ
[特待生3級]

色づくは 小路(こうじ)も頬も うそ寒し

ミッツ:紅葉で色づいている小路を歩いてる自分の頬も、なんとなく映って赤らんでる、そんなかりそめな感じ。


夏井先生:表現としてはポッと赤らむほっぺたを嬉しい感じで表現したい、ってことでよろしいんですか?
ミッツ:そうですね、季節を感じながら、自分もこう、秋の彩りに一体化してるみたいな。。。
夏井先生:なるほど、わかりました。そこがはっきりすれば、語順で損してると言えると思います。なぜかっていうと、“色ずく”のは、“小路(こうじ)も頬も”のあとに、最後に“うそ寒し”という季語がドスーンとくると、季節の訪れの喜びみたいなものがちょっと冷めてしまうところがあるんですね。あなたの言いたいことを実現しようとすると、“うそ寒し”から行った方が得かな、というふうには思います。
“うそ寒し”、ここでカットが切れますね。で、“小路も頬も”に行くわけです。この“も”も気にはなるんですが生かしましょうね。最後、“色づける”という風にすると「色づけることだなぁ」と隠されるような形になるんですね。

うそ寒し 小路も頬も 色づける

そうするといま語ったことがこの字面の中に入ってくる、と。そんなことになるでしょうかねぇ。けっこう難しいことをやろうとしてるので、そこがなかなかハードルが高かったかなぁと思います。

第7位


FUJIWARA藤本
[名人6段]

ぬうぬうと 秋かき混ぜる 観覧車

フジモン:仕事先で車で走ってるときに、観覧車が見えたんですよ。観覧車ってゆっくり回ってるじゃないですか、それが秋の風とか、光とか、空雲をゆっくりかき混ぜてるような気がしたんですよね。で、観覧車がゆっくりかき混ぜてるのをなんか、オノマトペで表現したいなぁと思ったときに、ゆっくり回ってるのが“ぬう”って回ってるという。。。オノマトペで“ぬうぬう”と表現したんですけど。。。


夏井先生:観覧車に対して“ぬうぬう”という、ゆっくりのイメージですよね、このオノマトペはみたことはないので、そこのオリジナリティはそれなりに褒めたいと思いますよ。ただね、「観覧車が空をかき混ぜるようだ」というふうな発想の句はね、俳句の世界にはやっぱりたくさん、たくさんあるんですよ。だって、誰が見たって混ぜてるなって思うじゃないですか。でも、それを思って書いてはいけないってことではないんですよ。それにささやかなオリジナリティを入れる奥の手がオノマトペだったわけです。“ぬうぬう”というのは個性もあるし、それなりにはイケてると思います。となったら、なにがもったいないかというと、“かき混ぜる”ですねー。“かき混ぜる”という、この複合動詞と“ぬうぬう”というゆっくりなかんじとが、どうも似合ってない。カチャカチャって卵を泡立て器で泡立てる、そんな感じがしませんか、ここは? それがこの句の一番もったいないとこになるかなと思います。
ここももっとゆっくりやった方がいい。簡単なことです。“秋かき混ぜる”じゃなくて、ひと呼吸、“秋を”と“を”が入るだけでちょっと時間がゆったりします。“秋を混ぜゆく”とこっちを複合動詞にする。そうすると、時間がゆったりするでしょ?

ぬうぬうと 秋を混ぜゆく 観覧車

こういうふうにすると、イメージだけは整ってゆく。“ぬうぬう”が活きてくる。

第6位


フルーツポンチ村上[名人初段]

龍よりも 緋い紅葉を 探す子ら

村上:子どもの頃に、すげぇ完璧な赤で美しい紅葉を探してた思い出があるなぁ、と。『俺の方が赤いぜ』とか競い合う、と。それがなんかまるで龍の鱗を探すような、冒険のような、という思いがこれ(写真)を見て思ったんですね。レッドドラゴンの鱗。
一同:レッドドラゴン?
村上:レッドドラゴン、レッドドラゴン。
石田:なにをいってらっしゃるんですか?
一同:(笑)


夏井先生:あなたの脳の中にある一種のファンタジーは悪いものではないです。発想としてはそれなりに面白いところを狙ってきてると思いますよ。でも、やっぱり“龍よりも”がダメでしょう。『赤い龍がおります』って熱弁を振るわれても、龍と言われるとみんな青っぽい、緑っぽいの思い浮かべるじゃない? “龍よりも緋い”、えーっ、どんな龍!?って、もうこの句の行く先を見失ってしまうわけですよ。さらにですね、龍を探すことよりも緋い紅葉を探すことに熱心になってるってことが言いたいわけでしょ? それが字面で実現できてないってのが一番大きな問題ですね。
それともう一つ、龍探すって大きなものじゃないですか、会ったことないけどね。紅葉は小さい葉っぱでしょ、この対比がちょっと激しすぎるな、という気もあったんです。でも、あなたの話の中に良い材料があったじゃないですか? 龍の何を探す?
村上:鱗?
夏井先生:鱗の大きさと紅葉の大きさ、いいかんじで釣り合いませんか? 鱗って書けよって思いました、聞いた瞬間に。
こうゆう巨大なファンタジーを17音に入れるのはとても難しいので、かなりの字余りにします。それで村上さんの言いたいことをなんとかする。えーとね、“緋い”をね、“緋の”、これ緋色の緋ですから、「あかい」とやったら3音ですけど「ひの」だと2音でいきますね。“緋の紅葉”ここからはじまります。“探す”とこういきます。“子ら”は悪いけど帰ってもらう(消す)、字が入らないからね。“ひのもみじさがす”で8音もありますけど、これ8音の上五としてドスンと置きます、仕方ない。そして“龍の鱗”、ここで鱗がおもむろに出てきますね。“鱗を”ここでちゃんとね「探す」という行為をリフレインさせる、“探すかに”と。これ「よりも」消します。

緋の紅葉探す 龍の鱗を探すかに

“かに”は「ように」という意味ですね。私たちは緋い緋い完全な紅葉を探しております、まるで龍の美しい鱗を探すかのように探しております。こうやるとあなたの中の物語は一応形になります。残念でした。

第5位


千賀健永(Kis-My-Ft2)[特待生3級]

星月夜 廃墟の煙突 銀に照り

千賀:紅葉と言えば秋。で、秋の季語を探したんですけど、“星月夜”という言葉が出てきて、ゴッホの絵で「星月夜」ってのがあるんですね、小学生の時に見たことがあってすごい好きで、その絵のイメージを俳句にしてみました。
横尾:いいと思うんですけど、中七の字余りなんですかね、わざと狙ってやっているのか、知らずになっているのか、気になりますね。


夏井先生:この句を読んだときに私もゴッホの絵を思いました。紅葉の写真からここまで連想を広げてくるということにちょっとビックリしたんですけども、昼間は汚れている煙突ですけども、夜になるとそれが銀色に見えて美しいという、その詩心というか、世界を率直な言葉にしている、そこがいいと思いますね。ただ、指摘があったように真ん中(中七)が8というのはちょっとつらい。もう一ついうと、“銀”というのが出てくると“照り”は言わずもがな、かなと。そうゆうところですね。“廃墟”とか“煙突”とか“星月夜”とか“銀”を入れたいですからね。こうやって入れる言葉がたくさんあるとどうしても字が溢れてしまうということは当然出てきます。そんなときにね、字余りをちょっとだけ目立たなくする方法もあるんです。「句またがり」、これ使ってみましょうね。
まず“星月夜”からいくのではなく、銀色の色からいってみましょう。“銀に”じゃなくて、ここは率直に銀色にしましょう。“銀色の廃墟”、ここで切れます、カットが。ここから“星月夜”へ、そうすると句またがりの調べになります。

銀色の廃墟 星月夜の煙突

こうゆうふうにすると、字数は余るんですけど、あまり気にならなくなるんですね。ご本人のイメージ、外国の映像のイメージですね? そしたら、この“煙突”、そのままでもいいし、“チムニー”って外国の言葉で。。。
千賀:♪チム、チムニー、チム、チムニー、ですね。
夏井先生:そうゆう奥の手もあるよ、ということですね。

上位編につづく。。。

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